想定外
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・・・考えられることは一つだけだった。
(何らかの理由で動けない。そしてその可能性が一番高いのは・・・)
ユウカは視線を反らすことをやめ、自分の目の前にいるタヌキを一直線に見つめる。タヌキもそれに答えるように、ただ自分の方を見ていた。
(こいつがレオンの可能性は高い)
もし他の場所で固まっているのなら、互いに言葉を発しないことでサブ同士だと見切ってレオンならすぐに行動に出るはず。しかし、今回はユウカが自分で名乗ったため、レオンは下手に動けずにここで立ち往生しているのではないかと彼は考えた。
(こいつがレオンだとして・・・どうやってそれを確かめるか)
そこから、ユウカはどうやって彼の正体をレオンと断定するかを考え始めた。タヌキの数字は見えている。ここでその数字とレオンの名をコールするのも一つの手だが、万一別の人物だった場合を考えると正体を突き止めてから行動するのが妥当だろう。
「もしかしてお前、レオンか?」
(直球!!)
ドストレートな質問をしてきたユウカに動揺してしまうレオンだったが、すぐさま頭を切り換える。ここで自分が取れる選択肢は二つ。
一つは首を振り、別の人物になりきる。もう一つは――――
(あえてうなずくということ)
ここで彼の質問にうなずいてみると、おそらくユウカは迷うはず。なぜなら敵である本人がそれにうなずくなんて、絶対にあり得ないことだから。
(一か八かやってみるか)
ユウカがそのうなずきを信じて回答する可能性だってあるけど、ここは迷って時間を稼げることを信じてうなずいてみる、そう少年は決めた。
コクッ
作戦が決まったのですぐさま実行に移す。うなずいたレオンを見たユウカには、確実に迷いが生じていた。
(うなずいた?どういうことだ?)
味方が自分を騙すことなんてありえないから、これで相手が敵であることは確定・・・とも言いにくい。
もしかしたら、あのレオンを呼ぶ声がユウカで、目の前の自称ユウカをソフィアと深読みして騙しに来ている可能性もあるからだ。
(タイミングがよすぎる気もするが、これは“騙す”ことがもっとも有効に働くゲームだから、ありえないことではない)
レオンの機転により戸惑いを見せるユウカ。その隙に、タヌキの中の少年はこれからのことを考える。
(ユウカさんが誤答してくれたら楽々移動できるんだけど、答えない限りは動くわけにはいかない)
ユウカが自分を深読みして誤った人物だと答えた場合、5分間の回答不能時間が与えられる。それだけあれば壁を飛び越えてソフィアと合流することもできる。だが、彼が答えない限りはここから逃げることはできない。それだけで正体を自分でバラしたことと同義だからだ。
膠着状態のタヌキとサル。二人の緊
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