想定外
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の前にはユウカさんがいる。この声は間違いなく彼の耳にも届いているはずだから、ここでジャンプして逃げていこうとすると彼に即座に回答されて犬死にだ。
(シリル辺りが代わりに飛んでくれないかな?)
チラッと視線を上に向けてみるが、案の定誰も壁を飛び越えていく者の姿はないし、そもそもチャレンジしようとする音すら聞こえない。このままじゃまずい・・・
(このまま誰も跳ばないと、ユウカさんが俺に疑いをかけてくる)
誰なのかわからない状態からなら騙すのは容易いことだろうが、正解が限りなくわかっている場面から、確認していくのでは難易度は遥かに変わってくる。
(ソフィアの奴・・・何もこのタイミングで言わなくても・・・)
もう少し早く・・・それこそゲーム開始際にでも呼んでくれたら何も問題なくポイントになることができたのに。この状況じゃとてもじゃないが動こうなどという選択肢は得られないな。
(このまま固まってユウカさんが俺に気付くのを待つしかないのか?)
今すぐ動けばすぐコールされる。だけど、固まって動かない分にはそれなりに時間が稼げる。その間にソフィアが3ポイント取って・・・
(無理だろ、それ)
あまりにも浅はかな願いだったと頭の中からその考えを抹消する。いくらなんでもそんなに簡単に迷路内で遭遇できるならとっくにゲームが終わっている。誰と会うか、そもそも出会えるかすら運勝負なのに、たかが数秒で三人に出会えるなんてあり得るはずがない。
(何か・・・何か作戦はないのか?)
ユウカさんが俺だと気付くまでのわずかな時間。その隙に何かここから逃げる手はないかと必死に頭を回転させた。
第三者side
(なんだ?なんで誰も動かないんだ?)
目の前のタヌキから視線を反らさないようにしつつ、壁の上を駆けていくであろうレオンが入った着ぐるみを発見しようとチラチラと見上げてみるが・・・一向にレオンが姿を現さない。
(ソフィアのそばにでもいたのか?)
レオンがソフィアのそばにいて、壁の乗り越える必要がなく合流できた可能性もある。しかし、いまだにアナウンスがならないことから、それはありえないとユウカは感じた。
(レオンが飛び越えられないのか?この壁を?)
続いてユウカはレオンがこの壁を飛び越えられず、ソフィアの元まで辿り着けない場合を想定してみる。
(いや、それもないだろ)
だが、彼はレオンの能力の高さならこのくらいの壁なら、例え着ぐるみ状態であろうとも飛び越えられるはずと考えてみる。
ソフィアの近くにいたわけでもなく、目の前の壁を飛び越えられないわけでもない。それなのにいつまでも少年が姿を現さないということ
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