想定外
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ると、目指している先にある曲がり角から、微かに声が聞こえてきた。
(まさか・・・)
短い足を懸命に動かし声の主の姿を確認しようと走る。速度的には早歩き程度だが、今の状態ではこれが限界の速度なんだ。仕方ない仕方ない・・・そう心に言い聞かせていると・・・
コケッ
日常との体格の違いに対応しきれず、その場に転倒してしまう。
ゴロゴロゴロ
おまけに、この着ぐるみはほとんど丸で構成されているため転んだ衝撃でどんどん転がって行ってしまう。
ゴツッ
そして、角を曲がり切ることができずに白い壁へと激突してしまった。
「!?」
背後から大きな音が聞こえたために驚きながらこちらを振り向くサルの着ぐるみ。俺は短い手足を駆使してなんとか立ち上がると、彼に向かい合うように立つ。
(くっ・・・隠れてどっちか判断してから前に立とうと思ってたのに・・・)
転んで何の準備もすることができずにプレイヤーと思われる人物の前に出てきてしまった。こいつがソフィアならいいけど、もしユウカさんだとまずいよな・・・
(今からでも逃げるべきだろうか?)
数字は手が短いので隠すことができずに晒している状態だが、向こうは中身が俺だと気付いていないはず。だったら今から逃げれば何とか態勢を整えることができるんじゃないだろうか?
「俺はユウカだけど、お前は誰?」
「!?」
そう思い足を後ろに引こうとしたその時、向こうから自らの名を名乗ってきたためその動作を停止する。
(やられた・・・逃げる前に名前を名乗られてしまった・・・)
ここで逃げると俺が敵チームの四人のうちの誰かだとバレてしまう。それに、ソフィアが二人正解を出しているということは、もしかしたらこちらのチームのサブは残り二人だけなのかも・・・
さっきのアナウンスからしてユウカさんが正解を出したのはソフィアなんだし、下手したら彼女の回答の瞬間を見ていた可能性もある。だとすると一気に俺がレオンだとたどり着いてしまう可能性がある・・・ここは・・・逃げるわけには行かない・・・
(さっきと同じ展開だけど・・・リオンくんになりきって・・・)
リオンくんになりユウカさんを騙してこの場から逃れようとした。しかし、運悪くこのタイミングで少女からの声が聞こえてくる。
「レオ〜ン!!レオンならこの壁飛び越えて来れるんじゃないの!?」
「「!!」」
盲点だった。迷路の中を進まなければならないなんてルールは事前の説明にはなかった。そもそも壁を乗り越えるなんて発想を持った人間はいなかっただろう。しかし、ソフィアはそれを思い付き、さらには実行可能な人選まで済ませていた。
(普通なら誉めて讃えられるところなんだけど・・・)
間が悪すぎた。今俺の目
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