第七十七話 学校へ
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了解。」
少し歩いてからわたし達は一軒の住宅の前に辿り着いた。
白いタイル張りの壁を持ち、青銅製の門扉を構える家。
肩にあるプローブからはユウキとランの長い吐息が聞こえてきた。
間違いない、この家がユウキとランの、
和人「ここがユウキの家なんだな。」
ユウキ『そうだよ。 まさか、もう一度見られるとは思ってなかったけどね。』
白い壁と緑色の屋根、周囲の住宅よりも小さめの家だけど広い庭、芝生には白木のベンチ付きのテーブル、赤レンガで囲まれた大きな花壇のある家。
だけど、放置されているのが良く分かるくらいになっている。
テーブルは色をくすませていて、花壇には枯れた雑草、家の窓全てが雨戸によって閉められている。
もう、この家には誰も帰って来ていないから、だから周りの家と違って温かさが欠けてしまっている。
ユウキ『ありがとう、皆。 僕達をここまで連れて来てくれて。』
ラン『私も、本当に有り難うございます。 こんなにやりたいことが出来るなんて。』
明日奈「ユウキとランの家だもの、わたしも見れて良かったって思うよ。」
その後向かいにある公園の膝の高さくらいまである石積みに腰かける。
ここからなら、ユウキとランでも家を全部見渡せるはずだから。
ユウキ『実はね、この家、売ろうと思ってるんだ。』
明日奈「え? 何で?」
龍也「維持費や修理でどれくらいかかるか分からないし、その分を払いきれるか分からないんだろ?」
ラン『それもそうですけど、あの家だと二人で住むには大きいんです。 もう父も母もいない、あの家は。』
桜「それじゃあ二人は何処に住むの?」
ユウキ『どこかなぁ。 皆と何時でも会えるような所が良いな。』
龍也「・・・売る売らないはお前らの勝手だけどさ。 想い出まで一緒に捨てようとするなよ。」
ラン『勿論です。 それこそ、父と母に申し訳ないですから。 これは辛いことを忘れるための選択では無く、前に進むための選択です。』
龍也「・・・言うまでもなかったか。」
しばらくの沈黙の後
ユウキ『帰ろっか。』
ラン『そうね。』
和人「分かった。」
〜side out〜
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