第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#4
PRIMAL ONE
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なった甲板上にヴィルヘルミナの声が響く。
そのメイド服姿の淑女を先頭に、
承太郎達は欄干から飛び出しタラップの横に付けていた
真新しいモータークルーザーに飛び乗った。
「すぐに発進するのであります。
振り落とされないように気を付けるのであります」
着地の勢いを殺さず運転室に駆け込んだ淑女は、
慣れた手つきでエンジンを起動させ操縦桿を握る。
そしてスクリューシャフトも焼き切れる80ノットを超えるスピードで
クルーザーを急発進させ、残骸の降り注ぐ海域を一挙に突っ切った。
巨大タンカーの沈没で揺らめく海原に水流が迸り、
波に乗り上げた船体は一度大きくジャンプする。
「おぉッ!?」
(むう……!)
その容貌に似合わない、巧み且つ豪快な操船術に
フランス人の青年と紅世の王の声が何故か重なった。
「みんな!! 見て!!」
後方確認の為外に出ていた少女の声が室内に響き渡る。
ジョセフを含む3人が少女の傍に駆け寄り、
淑女は操縦桿を握ったまま外部に視線を送った。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!
「信じられない……沈みながら、船の形が変わっていってる……
あんなに小さくてボロボロの船に、さっきまで乗ってたの……?」
その舳先だけを足掻くのように空へと突き出し深海へと呑み込まれていくタンカーは、
今はこのクルーザーさえも下回る漁船位のサイズになっていた。
「なんてことだ……あの猿は、
エジプトからここまで自分のスタンドに乗って
海を渡ってきたというのか……?
本当に恐るべきパワーだった。
初めて出逢うエネルギーだった……」
危難から逃れた安堵もそこそこに、花京院が頬に冷たい雫を辿らせて呟く。
「我々の想像を絶する、恐ろしい敵だったな。
承太郎の提案が無ければ、
相手の能力すら解らず一網打尽にされていた可能性が高い。
しかし、アレすらも上回る強大な 『スタンド使い』 が、
この先待ち受けているのか?」
チームのまとめ役として、
常に先の動向を把握しておかねばならないジョセフが
暗澹とした気持ちで口元を覆う。
そこに。
「アレッ!」
欄干から乗り出すようにして、シャナが闇夜の海原を指した。
巨大な船体が没したコトに拠って海流と海圧が変化し、
発生した渦潮に自分達の乗ってきた全装帆船が呑み込まれていく。
香港の埠頭を出航して以来5日。
さほど長い日々ではなかったがそれなりに想い出も愛着も在った船が
海底へ沈んでいくコトに、何故かシャナは無性な寂しさを覚えた。
「結構、楽しかったのにね……船での旅……」
そう言って元の黒い髪と瞳に戻っ
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