第68話 会津戦争 勃発
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第68話 会津戦争 勃発
土方の傷も癒えぬまま、白河城にて新政府軍と会津軍が激突した。
西郷頼母は、容保に降伏を求めたが、容保はそれを拒否し、徹底抗戦を主張した。
東北各藩では会津を擁護している藩と同盟を取り付け、会津は勢いを取り戻すと踏んだが、すでに藩内はすたぼろで、領民は重税と徴収で不満が爆発しそうになっていた。
それでも、白河城をはじめに執ったのは会津だった。これで勢いがつくと思っていた。が、兵力と物量の差は段違いで、新政府軍に呆気なく白河城を落とされ、次いで、母成峠での戦いも敗走を余儀なくされた。そして、新政府軍は、怒涛の勢いで会津藩内へと押し寄せようとしていた。
その中で斉藤は戦場に佇む一人の男を見た。その男は新政府軍と会津軍の兵士の屍の中に佇んでいた。その男が纏っていた雰囲気は、斉藤が知った人物に似ていた。
それはまさに新撰組最強の男・沖田総司の物に似ている感じがした。
(まさか、沖田君か?が、沖田君は・・・・)
肺病で療養している沖田がこんな遠くへひょいひょいと来れる訳がない。沖田である訳がない。
次々に会津の戦略は崩壊し、ついに新政府軍は会津藩内へと突入する直前まで迫って来ていた。
「殿、最早これまでです。降伏いたしましょう」
西郷は容保の面前で唇をかみしめて進言した。
「頼母よ。ここまで来て辞められる訳あるまい。すでに走りだしてしまったのだ」
容保は西郷を睨みつけるように言った。
「殿は会津を滅ぼすおつもりか。拙者は殿が京都へ出向する折にも同じことを申し上げたはず」
西郷は片膝を立てて容保に迫る勢いで声を張り上げた。
「余はすでに土方君に庄内藩へ援軍を頼むために向かわせた。援軍が来るまで籠城して抗戦することにする」
容保はそう言い放つと西郷を残して外に出て言ってしまった。
西郷は何も言わずその場に項垂れた。
未だ傷は癒えてはなかったが、土方は松平容保の命により本隊を斉藤に任せ、庄内藩へと急いだ。
土方の目からしても会津はがたがたで女子供でさえ戦場に召集されるほど弱りきっているのは明らかだった。
それでも、会津を支援する藩は東北では多く、庄内藩もその一つだった。だが、到着するなり、愕然とした。
そでに庄内藩は新政府軍と手を結び土方達を入藩させてくれなかった。
土方達は致し方がなく会津へ戻る事しか出来なかった。が、そこである男に遭遇することになろうとは思いもしなかった。
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