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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十七話 起死回生の一手
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メッセージ。
前回はなしの最後に付け加え忘れましたが、照月がいます。



呉から横須賀まで通常陸路で行けば約800キロちょっとだ。だが、海上を行くとなれば多少大回りをすることになり、その距離は軽く1,000キロを超えてくる。そのような長距離航海をしかも制海権が敵に争奪されている中、さらに戦闘力が皆無である輸送船団を護衛しつつ行くというのがどういう結果をもたらすか――。
前世においてもしばしば敵の攻撃を受け、全滅若しくは壊滅してしまった例をみればそれは火を見るよりも明らかなことだった。

 だが、作戦立案に当たった鳳翔にはこの輸送作戦を託すべき艦娘が呉鎮守府にいることを知っていた。他ならぬ伊勢と日向である。彼女たちは前世において北号作戦という物資輸送任務に従事していた。当時は戦局はほぼ絶望的な状況下で制海権も制空権も全くと言っていいほどない中を、松田少将の指揮下、奇跡的にほぼ無傷で任務を完遂したのである。
 この伊勢姉妹のほかに作戦支援に従事した艦娘は他にもいる。足柄と天津風だった。
 鳳翔はこの4人、そして葛城を作戦立案会議に招集して念入りに計画を練った。
「そんなに期待されても困るよ。だいたいあれは奇跡の奇跡の奇跡のようなものだもの。」
伊勢は肩をすくめた。
「回避運動だって、ひたすら左左左?あれ、右右右?だったかな?とにかく敵の意表を突きっぱなしだったから交わすことができたんだし。」
「それでもあなた方は無事に任務を成し遂げました。今度だってきっと成功します。」
「だといいけど・・・・じゃ、日向、あんたの意見を聞かせて。どうする?」
「伊勢の考えは?」
地図を一心に見ていた日向が伊勢を横目で見ながら尋ねた。
「私もないわけじゃないけど、あまり自信はないな。」
「私もだ。」
「ま、そうだよね。自信がお互いないのなら、じゃあせ〜ので言おうか。」
「子供みたいだな。まぁいい。」
「そう?んじゃいくよ、せ〜の――。」
『夜間無灯火航行。』
お互いが同じことをいい、そして同じ顔をしてと息を吐いた。陸路と違い海路では街灯があるわけではない。お互いの位置を知らしめるために、ことに夜間は船舶は灯火を付けて航行するのが習わしだった。夜間無灯火は敵が制海権を握っている海域を進む時、あるいはこちらから奇襲をかける際など、とにかく通常航行を行ってはならない場合に、一切灯火を付けないで航行するやり方である。
「やはりそれしかありませんか。」
鳳翔は顎に手を当てた。
「鳳翔さんも同じお考えですか?」
「はい。ですが呉鎮守府の私たちは夜間無灯火作戦行動を実施した経験があまりありません。」
「そこだよね。でも、夜間航行は真昼間に行くよりも敵に発見されにくいと思うな。この利点は結構大きいよ。こんな時だもの。多少の経験不足を考えて
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