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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十七話 起死回生の一手
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くれるだろう。その後方、つまり輸送艦隊の外郭に輸送艦に扮したイージス艦が護衛艦としてついている。通常戦闘においてはイージス艦は艦娘に及ばない。そのためいよいよとなれば、イージス艦は自らを盾にして深海棲艦と刺し違えるつもりだと鳳翔たちは聞いていた。
「翔鶴さんからの報告から数分・・・そろそろ敵の第一波が見えてもいい頃だけれど。」
「鳳翔さん!」
葛城の叫びに鳳翔は空を見上げた。既に日は登り始めている。その朝日を背にして、無数の小さな点が見えていた。
「来ましたか。全艦隊、対空戦闘用意!第一小隊、第二小隊は敵の迎撃に当たってください!」
鳳翔の指示に上空を旋回していた直掩機の中の2個小隊が反転し迎撃に向かった。さほど敵と離れていなかったため、たちまち暁の空に黒煙が立ち上り、撃墜された機が燃えがらのようになって落ちていくのが見えた。その下、大海原に展開しているのは翔鶴が報告した敵の機動部隊の一部だった。だが、距離はまだある。それまでには横須賀の玄関口に到着するだろう。
「ようやく姿を見せたわね。でも、遅すぎたわ。」
勝ち誇る葛城の横で鳳翔は顔色を変えていた。
「まずいわ・・・。」
「えっ?」
一瞬聞き違えたのかと思って葛城は鳳翔の顔を見た。輸送艦隊は今横須賀の玄関口ともいうべく、浦賀水道を目前にしている。
「まずいわ。横須賀に入る前の浦賀水道水域は狭い。今狙い撃ちされたらひとたまりもないわ。」
葛城は息をのんだ。確かに前方の水域は手を伸ばせば陸地と陸地を結べる錯覚に陥るほど横の距離がない。喫水線を考えれば大型輸送艦の航行できる水域は限られている。そこを狙い撃ちされれば――。
「鳳翔さん。」
葛城が鳳翔に話しかけた。
「私が殿を務めます。」
「あなたが!?」
「鳳翔さんは全艦隊の指揮を執って、前に進んでください。」
「でも、それでは、あなたが――。」
「まだ敵は有効射程につけていません。このまま逃げ切れば、私たちの勝です。でもそれには誰かが残って殿を務めなくては!!」
「・・・・・・・。」
「急いでください!!物資を失うわけにはいかないんです。さぁ、早く!!」
「それなら私が残ります!!」
「まだです。まだついたわけじゃありません。何が起こるかわからないんです。その時に鳳翔さんがいてくれなくては駄目なんです!!私じゃ輸送艦隊を指揮できません!!」
短い沈黙があったが、鳳翔はうなずいた。
「わかりました。でも無理をしないでください。約束ですよ。」
「はい。」
「葛城さん・・・・無事で。」
鳳翔はそういうと身をひるがえして輸送艦隊の後を追った。


「チイッ!!」
ビスマルクは相模湾沖で敵と交戦しながら舌打ちを何度もした。
「囮の私たちにこうもしつこく攻撃してくるなんて!!」
残存輸送艦を退避させた筑摩
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