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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十七話 起死回生の一手
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らに本隊の周辺には絶えず直掩機や夜間偵察機をあげて周辺警戒に当たらせていた。さらに翔鶴と瑞鶴の第五航空戦隊は本隊の右側を航行して、絶えず周辺警戒をおこない、万が一の時には敵の盾となって足止めをすることとなっていた。
「じゃが、こちらも尤もらしく動いて見せんと、恰好がつかんぞ。既に筑摩、響、天津風が輸送艦残存艦を護衛して相模湾に退避しつつある。敵の半数はそれを追撃中じゃ。」
「残りは?」
「残る半数は私たちを殲滅する気です。妙高さんが指揮を執って防戦しています。」
と、雲龍。
「よし、雲龍、天城。艦載機を発艦させて敵を一気に仕留めてくれるかしら?夜間発進は困難だと思うけれど――。」
「大丈夫です。」
雲龍がうなずいて見せた。
「はい、雲龍姉様や天城たちはこの時のために訓練を続けてきました。見ていてください!」
天城も力強くそういうと、二人はいったん転進し、火災を起こしている輸送艦の光を受けつつ艦載機を次々と発艦させた。
「さすがね、よし、利根。私たちも負けてはいられないわ。何とか敵艦隊を足止めして支えるわよ!」
「望むところじゃ!」
利根はうなずいた。


あたりは早くも夜が明け始めていた。普段ならばしんと静まり返った大気を主砲弾、機銃、そして爆弾や魚雷などの炸裂音が切り裂いていく。後方においてビスマルク達が襲われたということは彼女たちが発した緊急無電ですぐに知れ渡った。
「鳳翔さん!!」
葛城が悲鳴にも似た叫び声を発した。
「大丈夫です。ビスマルクさんたちが支えてくれます。」
「ですが!!」
「輸送艦隊乗員については、被弾し、航行不能とあればいち早く退避するように提督から何度も念を押してあります。大丈夫です。」
「・・・・・・。」
「それに、まだ作戦は終わっていません。無事に物資を横須賀に搬送するまでは、私たちは逃げることも他の人たちを救出することもできないのです。」
鳳翔は弓を構えた。
「むしろ葛城さん、囮艦隊が攻撃を受けたことで、私たちにも敵が殺到する可能性は大きくなりました。発進はリスクが大きすぎますが、今からでも航空隊を発艦させて、囮とし、敵をそちらの方面にひきつけましょう。」
「ここで発進ですか!?」
葛城が驚いている間にも、鳳翔は弓を構え次々と艦載機を正確に放った。
「あまり効果はないのかもしれませんが、敵の眼が分散されれば、それこそこちらの動きを看破されずに横須賀に行ける可能性もあります。打てる手はすべて打っておきたいのです。」
「わかりました。今までの訓練の成果、お見せします!」
葛城はそう叫ぶと、身をひるがえし、矢をつがえ、次々と艦載機を放った。東方にはまだ日は登ってきていないが、薄っすらと白み始めたその淡い光に照らされ、髪をなびかせ、矢を放ち続ける葛城の姿は幻想的であった。
「流
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