第二十七話 起死回生の一手
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翔さん?鳳翔さ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」
不意に不安になり、葛城は何度も鳳翔の名前を叫んだ。もしや鳳翔はけがをしたのではないか。自分が呼んでも振り返ることのできないほど重傷を負ったのではないか。
先ほどの勝利の高揚感は一瞬で吹き飛んでいた。葛城は急いで鳳翔のそばに走っていった。
「鳳翔さん、鳳翔さんっ!!」
葛城の呼びかけに鳳翔はようやくこちらを振り向いた。その顔色の悪さに葛城はぞっとなった。
「鳳翔さん、お怪我は?どこかけがしたんですか!?」
「いいえ、私なら・・・・大丈夫です。私なら・・・・・・。」
ふと、葛城は鳳翔が何かを抱えているのに気がついて、あっと声を上げた。
「この人・・・綾波さ――。」
葛城の顔が凍り付き、声にならない声を上げていた。
綾波の体はひどい傷を負っていた。全身に火傷があり、砲弾が命中したのか破片が腕や足、体に食い込んで、出血している。だが、それもある一点に比べれば物の数ではなかった。
葛城が見つめていたのは、眼だった。綾波とは輸送作戦で一瞬顔を合わせた程度だったが、眼の輝きははっきりと覚えている。
その眼は見開いていたが、白く曇り、虚空の空を見上げたままだった。
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