第二十七話 起死回生の一手
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「ですが、それでは艦隊護衛は――。」
「私たちに任せてください。」
川内、長月、初雪、清霜、村雨たちがいた。
「長門先輩たちも向かってきています。それまで私たちが守り抜きますから。」
「わかりました。金剛さん。」
紀伊は金剛を見た。
「私たちは鳳翔さんたちを救出に行きます。金剛さんたちは翔鶴さんたちを。お願いできますか?」
「OK!!任せておいてくださいネ!!」
金剛は胸を叩いた。その時には続々と艦娘たちが集結し、一大部隊が集結しつつあった。
「では、私たちと阿賀野さん、吹雪さん、夕立さん、舞風さん、磯風さん、白露さんは鳳翔さんたちを救出に行きます。」
「待ってください!」
紀伊は振り返った。そこに立っていたのは赤城、そして加賀だった。
「私たちも一緒に行きます。鳳翔さんたちのこと、見捨てることなんてできません。」
「それに、五航戦の子たちと一緒になるのはあまり気分がいいものではありませんから。」
「加賀さん・・・・。」
赤城は注意しかけたが、すぐに顔を引き締めた。
「時間がありません、お願いします!!」
「わかりました。すぐに出発します。」
紀伊の言葉にうなずき合った一同は白波を蹴立てて南下していった。
よろめきながら進む由良の眼に、懐かしい光景が見えてきた。日の光を受け、キラキラと輝く波に洗われた一大港。かつて由良がそこから旅立った港。
(あれは・・・・埠頭・・・・横須賀・・・・埠頭・・・・・。)
くっ、と全身に走る疲労と痛みをこらえ、由良は懸命に走り続けた。
「由良さん、後は引き受けます!!」
川内が由良を支えながら言った。
「いいえ・・・最後まで・・・・私がっ!!」
ここまで載せてきたのは自分だけの想いではない。呉鎮守府の仲間全ての想いが今自分の肩に乗っかっている。
それを背負って走り切らなくては。
想いは無駄になってしまう。どんなに疲れていようと、由良は走りを止めなかった。
不意に体がよろめき、前に倒れた。足がもつれたのだ。もう駄目だと思ったその時、不意に力強い手が彼女の体を抱き留めた。
「・・・・・?」
薄れゆく意識の中、見つめ上げた由良の眼には長門の姿が写っていた。
葛城は一人海を走っている。何とか敵艦隊を退け、深海棲艦機を撃破した彼女は信じられない様子で呆然と海を走っていた。
「信じられない・・・私、やったのね。一人で・・・・・・これも訓練のおかげ!?」
半ば熱に浮かされたように葛城は呆然と何度も同じシーンを回想しつつ北上していく。
「あっ!」
不意に葛城が胸を押さえた。海上に佇む見慣れた姿を見たからだ。
「鳳翔さ〜〜〜〜〜〜〜ん!!!」
葛城が力いっぱい叫んだが、ふとおかしいと思った。あれほど凛とした鳳翔が全く振り返らないのだ。
「鳳
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