第二十七話 起死回生の一手
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「吹雪っ!!」
血相を変えた葵の顔を見て吹雪は動けなくなってしまった。
「全艦隊に緊急通達!!!直ちに戦闘準備!!!すぐに横須賀鎮守府浦賀水道付近に急行!!!呉鎮守府からの輸送艦隊を保護、敵機動部隊を、撃滅せよ!!!!」
「はっ、はいっ!!!!」
「行け、急げ!!!肺が破れるほど急ぎなさいッ!!!」
「わ、わかりましたっ!!!」
吹雪はものすごい勢いでドックに駆け出していった。たちまち警報が鳴り響き、まだ黎明の眠りをむさぼっていた艦娘たちを驚かせた。葵はドアをけりあけるようにして艦娘に緊急出撃を指令して回った。その鬼気迫る形相は後でみんなが話題にのぼせたほどだった。
葵の気迫のせいか、2分後にはすべての艦娘が事情を知り、その2分後には既に第一陣が全速力で出撃していた。金剛、比叡、榛名、霧島の金剛型戦艦4姉妹と、紀伊、尾張、近江、讃岐の紀伊型空母戦艦4姉妹である。さらにその後方にはばらばらと駆逐艦隊や水雷戦隊が続いていく。
「うぅ〜〜〜早起きはお肌によくないデ〜ス!!」
金剛は眠そうに目をこすったが、次の瞬間きっと顔をひきしめた。
「でも、呉鎮守府の仲間たちがbattleしているのに、私たちだけ寝ているのは面白くないネ!!それに・・・。」
金剛は自分の胸に手を当てた。
「私たちのために命懸けで物資を護ってきています。そんなときに私たちが何もしないのはよくないネ!皆さん、follow me!!ついてきてくださいネ!!」
「はい!!」
「金剛型の速力、見せてやりましょう!!」
「会戦地点まで全力で航行すれば約30分足らず、急ぎましょう!!」
他の3姉妹も金剛の後に続き、その後ろに紀伊、近江、讃岐そして尾張の姿が見えた。
「なんだってついてきたの?」
讃岐がふくれっ面をした。
「当然よ。貴重な燃料物資をむざむざ敵の手で沈めるわけにはいかないわ。ったく、こんな無謀な作戦たてるなら、まず相談すりゃいいのに。」
「無謀でもなんでも――。」
紀伊は尾張を見た。
「私はここまで来た先輩や仲間を尊敬するわ。それに呉鎮守府は私にとって大切な故郷だもの。その人たちを失いたくない。」
紀伊は速力を上げた。他の3姉妹はびっくりした顔をしたが、すぐに紀伊の後に続いた。
葛城は疲れ切っていた。彼女自身にも敵攻撃機は容赦しなかった。自分一人にこれほど襲い掛かってくるのだ。他の部隊や輸送艦隊にも敵は殺到しているだろう。だが、自分にできることはここを守り抜くこと、一機たりとも輸送艦隊に向けさせない事だった。
一人後ろに残って警戒していた葛城は敵第二波が接近してくるのを見て覚悟を固めた。
「艦載機が・・・5・・・10・・・・20・・・・。それに重巡戦隊。上等じゃないの!!今度こそは空母としてあいつらを仕留めてやるわ。」
葛城は矢をつが
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