第32話『凶気の科学者』
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ない。
視覚だけでなく、聴覚もボンヤリとしてきたらしい。次第に何も聴こえなくなっていった。ただ・・・
──俺の意識が途切れる瞬間、ある人物の叫び声だけはしっかりと聴こえた。
*
「あぁぁぁ!!!」
無我夢中で走った。後先も何も考えず、本能で。その本能はあることによって突き動かされていた。
誰かが俺を呼んだ。
それだけだ。
大したことでもないのに、いつでも起こるようなことなのに・・・聞き逃せなかった。
いつも俺を慕っていた声。その声と先程の声は酷似していた。
でも、先程の声に俺の知っていた元気は残っていなかった。
それを悟った瞬間、俺は使命感と焦燥感に駆られ、起き上がる動作と走る動作を同時に行うほど、必死に声の元へ走った。
その先に見えたもの…倒れている人物と立っている人物。
俺の視線は迷うことなく、倒れた者を見て直立する、片方の者へ向いた。
『逆襲』
その言葉が脳裏に浮かんだ瞬間、或いは立っている人物が振り向いた瞬間、
俺の手は・・・その人物の首を捕らえていた。
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