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第五十九話 惑星イオン・ファゼガスを脱出します!
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見せず、アンジェをにらみ続けている。
「シャロン主席指導教官は、騎士団及び公国に対して反逆を起こし、全世界を戦乱に陥れた。大勢の犠牲を出し、挙句の果てには、あの世界そのものを崩壊させる一歩手前まで行った。救いがたい狂人、愚か者。前世の列国会議では閣下はそう定義されていたわね。」
「それは、その通りじゃないの。」
「結果論はそうだわ。でもね、肝心なことが抜け落ちているわよ。閣下の掲げた大義を誰も挙げて論じようとはしなかった。それを理解していれば、閣下のなさったことに動機がないとは言わせないわ。」
アンジェはイルーナたち「勝者」側の転生者たちをにらんだ。
「一歩違えば、閣下の掲げる理想が実現し、あなたたちの方が狂人として、反逆者として、列国会議で話題になっていたかもしれないと私は言いたいのよ。」
「あなたの言うことは矛盾だらけよ。」
イルーナの一言がアンジェの勢いを止めた。
「結局のところ、あなたの言っていることは、シャロンの理想の擁護でしかないわ。それがあなたのよりどころなのだという事が、今はっきりと分かったわ。いわばあなたの心臓の一部なのね。それを無理に引きはがせば、あなたは死んでしまうという事がよくわかったわ。」
イルーナの言葉は冷たく、アンジェを突き放すようだった。
「私は、もちろん例外はあるけれど、結果論至上主義者なの。どんなに優れた理想で有ろうともそれを実現するにかかったコストが採算が取れないほどのものであれば、それは一考の余地すらもないものだと思っているわ。アンジェ、あなたとシャロンの掲げた理想を実現するために払おうとしたコストはいささかそういうものだったわね。今回はどうかわからないけれど。自由惑星同盟をいったいあなたたちはどうするつもり?」
アンジェは一瞬不敵そうな笑みを浮かべた。かつて前世でフィオーナたちと相対した時に浮かべた、あの不敵そうな笑みを。
「強い同盟づくりです。原作においては、同盟はアムリッツアで大敗を喫しました。帝国領遠征という愚かな行為をして。ですが、閣下がいらっしゃる限り絶対にそう言うことはさせません。そう言った論者を閣下は悉く抹殺してきました。今後も片っ端からそうするでしょう。今の同盟を原作の同盟と同じと思ってもらっては困ります。」
「大した自信ね。」
イルーナの表情には何の感情も現れていない。
「18個艦隊、イゼルローン級要塞、そして訓練を受けた精鋭に優秀な閣下率いる将官たち。同盟がそう簡単に滅びるとは私には思えません。断じてです。今の講和だって、実現したとしても一時的なものにすぎませんし、いわば時間稼ぎをする手段の一つなのですから。」
アンジェの言葉が終わっても、一同は何も言わなかった。ティファニーでさえもだ。
「どうしても、戦わなくちゃならないんですか?」
フィオーナが切なそうに尋ね
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