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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
圏内殺人事件
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から、短い一言が押し出した。

「……ご飯1回」

「は?」「……?」

「ご飯、何でもいくらでも2人に1回ずつ奢る。それでチャラ。どう?」

アスナの、こういう直截(ちょくせつ)さは嫌いではない。寝起きの頭で瞬時に、なぜキリトと俺が長時間付き合ったのかを理解したのだ。圏内PK行為からガードするためだけでなく、日ごろの精神疲労を回復させるため、寝られるだけ寝かせてやろうと考えたところまで。

キリトは片頬からニヤッと笑い、OKと答えた。

伸ばした両脚を振り上げ、反動をつけて立ち上がったキリトは、右手を差し出しながら言った。

「57層の主街区に、NPCレストランにイケる店があるから、そこ行こうぜ」

「……いいわ」

素っ気ない顔でキリトの手を掴まり立ち上がったアスナは、フイッとキリトから顔を逸らし、まるで夕焼けを胸に吸い込もううとするかのように大きく伸びをした。

「行こうぜ、ネザー」

キリトに誘われ、流れに従うように俺も後に続いた。











《ソードアート・オンライン》という名のデスゲームが始まって、1年と5ヶ月が経過している。

当初はあまりにも遠い道のりと思えた浮遊城アインクラッドの100に及ぶフロアも、気づけば6割近く踏破され、現在の最前線は59層だ。1つのフロアをおよそ10日で攻略してきた計算になる。それが速いのか、遅いのかは攻略の当事者であるプレイヤー達にもわからないが、ここしばらく一定のペースが保たれてることで、中層以上のフロアにはささやかながら《生活を楽しむ余裕》のようなものが生まれる。

第57層主街区《マーテン》にも、そんな雰囲気は濃く存在した。現在は最前線からわずか2フロア下にある大規模な街で、必然性に攻略組のベースキャンプかつ人気観光地となっている。夕刻ともなれば、上の前線フロアから帰ってきたり、あるいは下層から晩ご飯を食べにきたプレイヤー達で大いに(にぎ)わうこととなる。

59層から転移門経由でマーテンに移動した俺とキリトとアスナは、ごったがえすメインストリートを、肩を並べて歩いた。すれ違う連中の内、少なからぬ数がギョッと眼を剥く。

ファンクラブすら存在すると言われている《閃光》と、少々黒い噂が立ってる《神速》の隣を、胡散(うさん)臭いソロプレイヤーが大きな顔をして歩いているのだからそれも当然だ。

5分ほど歩いたところで、道の右側にやや大きめのレストランが現れた。

「ここ?」

ホッとしたような、胡散臭そうな顔で店を見るアスナに、キリトは頷いた。

「そ。おすすめは肉より魚」

キリトはスイングドアを押し開け、ホールドすると、細剣使いと傷跡剣士は()ました顔で入り口を潜る。

NPCウェイトレ
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