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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
オレンジ&メタヴァーミン
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を下にして宙吊りになったシリカのスカートが、仮想の重力に馬鹿正直に従ってずりりっと下がる。
「わわわ!?」
慌てて左手でその
裾
(
すそ
)
をバシッと押さえ、右手でツタを切ろうとするものの、無理な体勢のせいかうまくいかない。顔を真っ赤にしながら、シリカは必死に叫んだ。
「きっ、キリトさん!見ないで助けて!!」
「いや、それは無理だろ」
左手で眼のあたりを覆ったキリトが困ったように答える間にも、巨大花は何が楽しいのか吊り下げたシリカを左右にぶらぶら振り回す。
「こ、この……いい加減に、しろっ!」
シリカはやむなくスカートから左手を離し、ツタの片方を掴むと短剣で切断した。ガクンと体が下がり、花の首根っこが射程に入ったところで、再度ソードスキルを繰り出す。今度は見事に命中し、巨大花の頭がコロリと落ちると同時に全体もガシャーンと爆散。ポリゴンの欠片を浴びながらすたんと着地したシリカは、振り向くやキリトに訊ねた。
「……見ました?」
黒衣の剣士は、左手の指の隙間からシリカを見下ろしつつ答えた。
「……見てない」
その後、5回ほども戦闘をこなしたところでようやくモンスターの姿にも慣れ、2人は快調に行程を消化していった。一度イソギンチャクに似たモンスターの、粘液まみれの触手に全身グルグル巻きにされた時は気絶するかと思ったが。
キリトは基本的には戦闘に手を出さず、シリカが危なくなると剣で攻撃を弾くだけのアシスト役に
徹
(
てっ
)
した。パーティープレイでは、モンスターにダメージを与えた量に比例して経験値が分配される。高レベルモンスターを次々に倒すことで、普段の何倍ものスピードで数字が増加していき、たちまちレベルが1つ上がってしまった。
赤レンガの街道をひたすら進むと小川にかかった小さな橋があり、その向こうに
一際
(
ひときわ
)
小高い丘が見えてきた。道はその丘に巻いて頂上まで続いているようだ。
「あれが《思い出の丘》だよ」
「見たとこ、別れ道はないみたいですね?」
「ああ。ただ登るだけだから道に迷う心配はないけど、モンスターの量は相当らしいな。気を引き締めて行こう」
「はい!」
色とりどりの花が咲き乱れる登り道に踏み込むと、キリトの言葉通り急にエンカウントが激しくなった。植物モンスターの図体も大きさは増すが、シリカの持つ黒い短剣の威力は思った以上に高く、連続技のワンセットで大概の敵は落とすことができる。
想像以上と言えば、キリトの実力も底が知れないものがあった。
かなりのハイレベル剣士だろうとは予想していたが、第35層から12層も上に来ているのに少しも余裕を失う様子もない。モンスターが複数現れてもたちまち撃破し、シリカの手助けをしてくれてる。
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