296部分:第四十話 揺れる大地その八
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第四十話 揺れる大地その八
「恐ろしい男だタウラス」
「そして黄金聖闘士達よ」
「それではだ」
アルデバランは彼等が全て立ち上がれないのをわかったうえで立ち去ってみせた。
「さらばだ」
「うぐっ・・・・・・」
インプ達のうちの一人が最後の言葉を出して事切れた。こうしてアルデバランと彼等の戦いは終わった。しかしこの戦いは誰も知らないというわけではなかった。
「流石だな」
「そうじゃな」
シオンがこの戦いを遠く離れた聖域から見ていたのであった。そして彼の側にある鏡からもう一人この戦いを見ていた者もいた。
「アルデバラン、やはり見事じゃ」
「魂はそのままだな」
シオンは安心したように述べた。
「やはりな」
「そうじゃな。これまで四人の者が出陣したが」
「うむ」
鏡の中の男の言葉に応えるシオンだった。
「四人共。見事なものじゃ」
「あの時と同じだ」
シオンは玉座に座っている。そうしてそのうえで今度は安堵したように述べるのだった。
「実にいいことだ」
「名前こそは違うがのう」
「アルデバランは名前も同じだ」
シオンはこのことは言い加えたのだった。
「それは忘れたか?」
「おっと、そうだったのう」
鏡の中の男は今のシオンの言葉を受けてまた笑った。
「ほっほっほ、これは失態じゃ」
「いや、本当はわかっているな」
「いやいや、本当に忘れておったのじゃよ」
顔を崩しながら笑い続けている。しかしそれが本当のことかどうかはわからないことであった。彼のその皺だらけの顔からは何も読み取れなかった。
「実際にのう」
「そう言うのならそう受けておく」
シオンはその彼に対してこう言うに留めた。
「しかしだ。アルデバランもだ」
「うむ」
「やはり。前と同じだ」
こう言うのであった。
「あの時とな」
「技もじゃな」
男はそれもだというのだった。
「同じじゃ。しかしじゃ」
「その強さもキレもよくなっているな」
「あの時よりものう」
二人はアルデバランを知っているかのように話していた。
「よくなっておる」
「デスマスクもだった」
シオンは次に彼の名前を出した。
「そしてシュラもだ」
「そうじゃな」
「アフロディーテも。あの時よりもまだ強くなっている」
「あの時は。無念じゃった」
男はここで苦い言葉を出したのだった。
「わし等以外皆死んでしもうた」
「次の聖戦もだ」
既にそこまで考えているシオンだった。
「次のハーデスとの聖戦だが」
「うむ」
「私はいない」
それはもう規定事項だと言わんばかりの言葉であった。シオンは己に対することをここまで平然と述べてみせたのであった。何でもないといったように。
「その時は御前に任せるが」
「すまんの
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