ターン57 鉄砲水と叛乱の歯車
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ハモンを、そしてラビエルを、辛うじて退けることに成功した僕ら。だけど、これで一息つくにはまだ早い。そもそもこのテニスコートに来た理由は、ヨハンとカイザーに次元を挟んでのデュエルをさせるためなんだから。
先ほどのデスデュエルの疲れが体を重くしているものの、こんな面白そうなデュエルを見逃す手はない。重い体を引きずるようにしてそこらの壁に寄りかかり、観戦の姿勢に入る。
「あとは任せたよー、ヨハン」
「ああ、任せてくれ!レインボー・ドラゴンのカード、必ず受け取ってやるさ!」
元気よく返すその姿は本当に嬉しそうで、心から自分の宝玉獣を愛しているのがよく伝わってくる。そして2人がそれぞれの場所でデュエルディスクを構え、ついにデュエルが始まった。
「「デュエル!」」
さあ、どんな勝負になるのか……今まさに最初のカードが場に置かれようとしたその時、全身に悪寒が走った。何か、物凄く悪意に満ちた視線がこの場に送られている。他の皆はデュエルに集中していたり周りを警戒していたりで気づいていないみたいだけど、皆からは少し離れたこの位置もよかったのかすぐに気付いた。体のだるさも全部吹っ飛んで、その視線の来た方向……ちょうどラビエルたちが入ってきたのとは真逆、テニスコートの奥を睨みつける。そこにちらりと人影が見えた瞬間、半ば無意識のうちに体が動いていた。ふらふらと歩く自分をどこか他人事のように捉えながら、一歩また一歩とヨハンたちから遠ざかっていく。もしもこの時誰か1人でも僕の動きに気づいていてくれたら、そしてたとえ一言でも僕に声をかけてくれたら、あるいはまったく別の結果になったのかもしれない。しかし幸か不幸か最後まで誰にも気づかれず、テニスコートからは死角となっている物陰にふらふらと入り込んだ。そこで気楽そうにくつろぐ青年の顔を見て、先ほどの視線の正体はこの男だと確信する。
「お前は……!」
「はーい、また会ったねー。遊さんのご登場だよー」
以前このヘラヘラした奴と会ったのは、確かカイザーがヘルカイザーになって最初にこのアカデミアに戻ってきたときのことだったろうか。あの時も、結局意味深な言動ばかり繰り返して何がなんやら僕にはわからなかった。ただ明らかなのは、この男はとても危険な存在だということ。これはもう理屈じゃなくて、デュエリストとしての本能だ。
身構える僕を鼻で笑い、ヘラヘラとした笑みを口元に張り付けたまま遊が口を開く。そこから出てきた言葉は、僕にとっては全くの予想外なものだった。
「ユーノ。……ねえ、彼に会いたくないかい?」
『なに……!?』
僕より先に反応するチャクチャルさん。そういえば、チャクチャルさんも遊のことは僕より前から知っていたんだっけ……だが、それは後でいい。それよりも、今は遊の話に集
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