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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第五十八話 脱出開始です!
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思うのだ。人間というものは今現在の暮らしがたとえ地獄の苦しみでもそれが継続すればたいていの事に順応してしまう。農奴と化した帝国臣民が表立って反抗しないのはそういうわけだ。よっぽど生きるか死ぬか、二つに一つに追い詰められない限りはな。だが、そんな状態が果たしていいと思うか?」
「・・・・・・・・。」
「反対のことを言うぞ。自由惑星同盟の奴らは曲がりなりにも首都星ハイネセンや他の星系ではそれなりに安楽な暮らしをしている。銀河帝国の人々を救うために奴らに今の生活レベルを落とせと言っても、素直に従うか?人間というのはな、自分が握っている一握りの幸福を他人のために簡単に手放すことをしない生き物なのだ。よっぽど余裕がなければな。」
ラインハルト様は最後にと息を吐かれた。こんな人間論を展開することなど、あまりラインハルト様らしくはないことである。ラインハルト様ご自身もそう思っていらっしゃるのだろう。だからこそ私は真剣に聞いていた。聞かなくてはならないと思っていた。
「確かに今の状態のまま和平が成立すれば、そしてそれが続けば、戦乱の時とは比べ物にならないほど人が死ぬ数は減る。だが、それだけだ。戦死することがなくなる。ただし、地獄の苦しみは味わうことになる。他人に一度聞いてみたい物だ。彼らはどちらの方がましだというだろうな?」
どちらも嫌だというだろう。そうだ、だからこそラインハルト様はおっしゃるのだ。多少荒療治になったとしてもその先に待つ未来をよりよくできるのならば、そうせねばならない。たとえそのために幾百人の人が死のうと、自分がどれだけ罪科を受けようと、その先待ち受けている未来が全人類のより良い幸福のためであれば。
これは言葉を変えた『生贄』ということになるのかもしれないな、と私は思った。何百万という戦死者の生贄を捧げる。そうすることで人類がより良い幸福を手に入れ、それが連綿と続くのだとしたら、その犠牲は妥当なものになるだろうか、それともあまりにも高すぎる代償だと言われるだろうか。
最大多数の最大幸福とはいったい何なのだろう?私にはわからない。どれが正しい選択肢なのか、そもそもこの命題に対して正しい選択肢があるのかもわからない。だが、一つだけ私は改めて心に誓った。このまま座して見ているだけというのは私には到底できない。現実から目を背けることなどできない。ラインハルト様と共により良き未来を創るために前進するのだと。
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