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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第五十八話 脱出開始です!
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人なのかもしれない。この先また何百万という血が流れ、その倍の遺族が嘆き悲しむ世界を私は是と思ったに等しいのだから。ラインハルト様が私の心の中を知れば、どう思われるだろう。
「キルヒアイス、どうかしたか?」
はっと顔を上げれば、ラインハルト様がこちらを見ている。
「和平決裂の事を考えていたのか?」
幸い近くにいたのはラインハルト様だけだった。わたしたちは一番最後尾を歩いていたので、見とがめられることはなかったのだ。
だから私は正直に語った。自由惑星同盟の人々よりもラインハルト様とアンネローゼ様のことを思ってしまいました、と。
「キルヒアイス、お前は優しいな。」
ラインハルト様はいつもと変わらぬ調子でそうおっしゃった。
「いつも俺と姉上のことを考えていてくれる。イルーナ姉上やアレーナ姉上たちを除けば、そう思っていてくれるのはお前だけだ。」
ラインハルト様はわたくしの肩に手を置いてくださった。
「お前の言う通り、今後自由惑星同盟と帝国との間ではまた戦争が始まるだろう。何百万という人々が死んでいくことになる。だがな、キルヒアイス、お前がどう思おうと自由惑星同盟と銀河帝国はいずれけりを付けねばならない。考え方が違う複数の国家の間ではたとえ何十年の和平が続いたとしても、いつかは破たんするときがくる。」
「しかしラインハルト様、わたくしはこうも思うのです。その何十年という和平もまたかけがえのない価値があるのではないか、と。少なくともその時代に生まれ合わせた人々にとっては幸せなのではないでしょうか?」
「キルヒアイス、イルーナ姉上のおっしゃったことを覚えているか?俺たちが辺境で見た光景を覚えているか?今の帝国では一握りの貴族共がのさばり平民たちがそれに縛られている。普通の方法ではこれを改革することは絶対に不可能だ。戦争でも起こし、ゴールデンバウム王朝をガタガタにし、貴族連中を一掃し、そのうえで革命を起こして旧弊を一掃するほかない。キルヒアイス、お前の言ったことは自由惑星同盟の人々を幸福にするかもしれないが、帝国の人々を苦しめ続けることになる。一部では死んだほうがましだったと思えるほどの苦しみを与える貴族連中もいることだろう。そんな状態が続くことを、お前は是とするのか?いつか輸送艦隊の護衛で見ただろう?餓死寸前の家族をかかえてどうしようもなく、路傍をうろついて乞食同様の暮らしを強いられる人々を。そんな人々をお前は放っておくのか?」
最大多数の最大幸福とはいったい何なのだろう?そのようなことは神でない限り与えることは不可能ではないか、私はそんな思いにとらわれた。片方を守ろうとすれば片方を犠牲にする。かといってもう片方を守ろうとすれば他方が犠牲になる。いずれにしても血を流さずに今後何十年かを過ごしていくことはむつかしいことなのだ。
「キルヒアイス、俺は
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