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おぢばにおかえり
第三十五話 詰所での再会その十一

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「そうするの?」
「それいいですよね」
 何故か私の目をじっと見て答えてきました。
「先輩と一緒とか」
「確かに同じ大教会だけれど」
「教会長さんにならせてもらおうと思いまして」
「それでなの」
「はい、天理大学の宗教学科を出て」
 それでというのです。
「後はあれですね、前期と後期の講習も受けさせてもらって」
「それで会長さんの資格を貰って」
「それからは」
 ここでまた私を見てきました、そしてにこにことしながらこんなことを言ってきました。
「先輩お婿さん決まってます?」
「?急に変なこと聞くわね」
「決まってないですよね」
「そんな人いないわよ」
 婚約者は天理教ではまずありません、許嫁とかそんな旧家みたいなお話は縁がない世界と言うと言い過ぎですが。
「付き合ってる人も」
「そうですよね、じゃあ」
「何言ってるかわからないけれど」
「そういうことで、おかわりしてきますね」
「ええ、じゃあね」
「回廊させてもらうとお腹空きますね」
「それで午後も歩くのよね」
「はい、後はお墓地お参りします」
 そうするというのです。
「教祖の」
「場所知ってるのね」
「北寮のすぐ傍の」
「そうよ」
 場所はしっかりと知っていました。
「そこね」
「もうすぐそこですよね」
「北寮の横を行って」
「そうしたらそこがお墓地でね」
「奥華大教会の大教会長さんのね」
「はい、歴代の大教会長さんの人達のお墓もありますね」 
 阿波野君の方から言ってきました。
「ありますね」
「あら、知ってるの」
「詰所の人達に聞きました」
「そうしたことも聞いてるのね」
「はい、それで今日もお参りするつもりです」
「何か阿波野君の休日って」
 ここで阿波野君は一旦席を立ってカレーのおかわりをしてでした、そのうえでまた私の前に戻ってきました。
「充実してるわね」
「そうですか?」
「だってあえておぢばに帰ってきて」
 実家からです。
「それでひのきしんさせてもらってお墓地もお参りって」
「暇ですから」
「それ凄いわよ」
「あっ、そうなんですか」
「そこで自慢しなかったらね」
 釘は刺しました、阿波野君は調子に乗りやすいので。
「いいわよ」
「そうですか、じゃあお墓地も一緒に行きませんか?」
「ええ、いいわよ」
 阿波野君のいさみっぷりに感心していたので私は彼の申し出にすぐに答えました。そういえばお墓地へのお参りは最近全然でした。
「それじゃあね」
「おやさま、それに歴代の真柱さんのお墓もお参りして」
「本席さんもよ」
 飯降伊蔵先生という方です、天理教の初期に物凄く貢献した方で親神様のお言葉を皆にお伝えしてもくれました。
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