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Blue Rose
第二十六話 退所その十

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「日本においてね」
「その人の時みたいに」
「だからね」
「私も注意して」
「気をつけるんだ」
「わかりました、本当にそうします」
「権力を持った餓鬼もいるんだ」
 餓鬼道、それに堕ちた輩がというのだ。
「だから本当にね」
「気をつけないといけないですね、これからも」
「うん、まあけれど可能性はね」
 マスコミに知られるという最悪の事態に陥るというそれはというのだ。
「限りなくゼロに近いから」
「現実としてはですね」
「うん、大抵はね」
「そうしたことはですね」
「ないよ」
「今の僕でもですね」
「君も可愛い女の子だよ」
 傍目から見て、というのだ。
「訓練もあって仕草もね」
「女の子のものになっているから」
「若しものことはあるけれど」
 それでもというのだ。
「可能性は殆どないから」
「そうしたものですね」
「ただ、百パーセントではないことは覚えておいてね」
「絶対に安心していいものではないですね」
「このことは確かだよ」
「そうなんですね」
「だから注意してね」
 岡島が今優花に言いたいことはそうしたことだった。
「わかったね」
「わかりました」
 優花は岡島のその言葉に頷いた、日本のマスコミの腐敗と特権、そして自分がどれだけ注意しなくてはいけないかも再認識した。
 その中で退所の時が近付いていた、いよいよ明日その日となっていた。
 副所長はその優花を自分の部屋に呼んでそのうえで彼女に微笑んで言った。
「今夜は楽しみにしていて」
「今夜はですか」
「そう、明日退所よね」
「はい」
「それで明日もうアパートに入ってね」
「明後日から学校に通います」
「貴女の人生の新しい門出よ」
 その時が近付いてきているというのだ。
「それでね」
「今夜は、ですか」
「送別会を開くから」
 優花の為のというのだ。
「私と二人だけだけれど」
「副所長さんとですか」
「実はこの療養所はそうしたことはしないの」
 入所している者が退所する時もというのだ。
「送別会はね、けれどね」
「僕は、ですか」
「事情が事情でね」
 療養所に入る普通の事情ではないというのだ。
「それで色々あったし」
「だからですか」
「私個人でね」
「送別会を開いてくれますか」
「そうしたいの、今夜ね」
 この夜にというのだ。
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