第百十七話
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っとそこ入れないか」
「これ以上入ったらあーたんが潰れる!」
「ならここっきゃねぇだろ!」
記録結晶のタイマーのチクタクと鳴る音が響き渡る中、慌てながらも体格が小さめのケットシーのプレイヤーに頼み込むが、テイムモンスターらしい兎の為に申請は拒否された。その兎が随分と場所を取っているようだったが、この様子では死んでもあーたんを離すまい。どこか他に入れる場所はないかと探していると、突如として集団から伸びてきた手に腕を掴まれ、無理やり集団の中に押し込まれた。
「ひゃっ!?」
その腕は俺を引っ張るように力を込めて、どこかのプレイヤーに体当たりするかのように止まる。そして耳には聞き覚えのある声と、視界には見覚えのあるピンク色の髪の毛が見えて、彼女に抱きつくような格好のまま――
「はい、チーズ!」
――記録結晶のタイマーが機能を発していた。
「……ショウキくん」
「レイン……」
そして記念撮影が終わった俺たちは、黒鉄宮がパンクするような人数のまま、シャムロックの本部へと移動していた。この人数を収容できてなお、まだ余裕があるのはこの場所くらいだからだ。
そこの中庭である作業に従事していると、背後からレインに声がかけられた。作業の手を止めることなく顔だけそちらに向けると、ずっとセブンと話していたからか、憑き物が取れたような表情をしていて。
「色々……ごめんなさい。でも、ありがとう」
「最後にかっこつけたこと言っただけだって」
彼女には彼女なりの目的と考えがあって、セブンに対して自らの正体をバラさなかったのを、自分は最後の最後に分かったような口を聞いただけで。結局は、こちらに向けてぺこりと頭を下げる、彼女自身の力によるものだと。
「ううん。ショウキくんに言われた、逃げるなって言葉で目が覚めたの」
しかして頭を上げたレインは、否定の意味を込めたように手を振って、微笑みながら話しだした。シャムロックの本部に集まった、沢山のプレイヤーを仰ぎ見つつ。
「私……セブンから逃げてた。天才だって言われてた妹に嫉妬して、自分に言い訳して逃げてたの」
天才の妹に相応しい自分にならなければ、自分などがセブンに合わせる顔がないと。後から聞いた話だが、レインはずっとそう思っていて、心に枷がかかっていたと。
「だけど、もう逃げないよ。逃げないで……七色に相応しいお姉ちゃんになってあげなきゃ」
「……ああ」
『みんなー! お待たせー!』
レインの固い決意を聞いていると、耳をつんざくようなマイクの音が聞こえてきた。このシャムロックの本部、かつ俺たちが今いる中庭には、世界観などとあったものではないライブステージが設置されている。どうやらそ
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