第百十七話
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んだプレイヤーたちのカリスマになり、事実上の世界の支配者になる――と、往年の彼が憧れていたPoHにだ。
そのためにグウェンのギルドを吸収、利用しながら、シャムロックの登場により不安定さを露呈していたこの世界を暗躍していた。その状況を利用して、PoH本人から聞いていた浮遊城攻略前半に起こした騒動をなぞり、昔の浮遊城と『PoH』を再現しようとしていた――が。
元々この世界にいたプレイヤーたちにとって、仮想敵となるはずだったシャムロックの、特にそのリーダーであるセブンは、ユウキという少女と友人になった。その友人の友人とも、ギルドメンバーとも――この世界を共に遊ぶ誰とでも。
ジョニー・ブラックは分からなかった。疑心暗鬼が渦巻くデスゲームだった浮遊城と、ただ楽しく遊ぶだけだった浮遊城の違いが。
そしてただ利用していただけの筈だったグウェンは、ルクスという『友達』に彼らの情報を渡し、シャムロックへの奇襲攻撃も失敗することとなった。先程までは、何度でもやり直せる――などと思っていたことを忘れ、ジョニー・ブラックは赤銅色に輝くナイフを取り出した。
「テメェが――!」
自分がどうして『PoH』になれなかったのか――その理由も分からず、ジョニー・ブラックはただ、目の前のキリトに全ての憎しみをぶつけるべく走りだす。風と同化したような突進に、ソードスキルの光が灯る。
――もはや死に体のその身体では、キリトには止まって見えることと同義だったが。
「俺たちが遊んでる世界に……あの世界のことを持ち込むな!」
キリトの二刀が閃光のように煌めくと、一瞬にしてジョニー・ブラックのアバターはこの世界から散り散りとなった。もはやリメインライトすら残らないほどのオーバーキルに、キリトは何の感情も見せずに二刀を鞘にしまった。
そしてプレイヤーキラー集団は瓦解した。確かにこの世界においていくら死のうが、現実の世界で死をもたらすような事はない――が、どうしようもなく感じてしまうことがある。
――敗北感だ。
「勝ったかな」
「気が早いわよ」
黒鉄宮。はじまりの町にぞろぞろとたむろしていていると、何回目かに呟いた言葉に、リズが即座にツッコミを入れてきた。腕を組みながら壁に寄りかかっていると、ここより上の層を見通すように空を眺めた。
PK集団との戦い――というよりは一方的なリンチの後、俺たちは揃って《黒鉄宮》に転移してきていた。今もフロアボスと戦っているだろう、スリーピング・ナイツたちの名前が刻まれるこの場所――つまり戦いが終われば、必ず訪れるこの場所で。
「言いたくもなるだろ、これじゃ」
「……まあ、凄い迷惑なのは分かるわよ」
黒鉄宮で待っているのはいつものメンバーだけではな
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