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049「 妖精さんと、毒ガス」
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ッパイが大きくなるようにっ!オッパイ体操を毎日やってもらうブヒヒヒヒッ!」

「よし!死ねぇー!」

叫んだシルバー、サリンが入った袋を手放す。
重力に沿って、袋は落下し、豚人間が尋常じゃない勢いで突撃してくる。
エネルギー操作で、物理的な攻撃は防御できても、防毒マスクでも防げない毒ガスには対処できないはずだ。

『さすがにこれは防御できないぜ!』
『チェックメイトだぁー!豚さんっー!』
『ファンタジーで毒ガスを使うのは……間違っているだろうか……?』

袋が豚人間にぶつかる。柔らかい袋の一部が破け、サリンの毒がばらまかれた。
この毒は、防護服を着用しないと対処できないタイプの超極悪毒ガスだ。

『よっしゃー!サリンの袋に突撃キター!』
『これで勝つるー!』
『うむ、チェックメイトだ』

サリンは1902年にドイツ帝国が作り上げた化学兵器であり、呼吸器官から吸い込めば、数分以内に、無数の症状が出る。
失禁、縮瞳、気管支分泌液増加、湿性ラ音、肺水腫、呼吸困難、呼吸筋麻痺、意識混濁、昏睡、全身痙攣……それらが一つでも発症すれば、豚人間は確実に死ぬだろう。
ここは地上から何万mも離れた大空なのだから。
高性能な脳味噌で制御していた『夢幻』の能力も、まともに使えなくなるはずだ――

「愛の試練っ!終了ブヒィー!
もう、孕むまで寝かさないブヒィー!
妖精娘で脱童貞ブヒィィィィィー!」

『あるぇ?』
『なんでダメージなし?』

「……え、どういう事?」

ショタ妖精は、残った力で空を駆け上りながら、疑問の声を上げた。
もう、この状況で、戦果を確認する暇はない。
ネットの皆の声が頼りだ。

『普通にノーダメージですぞ!』
『あの豚さんの能力。毒ガスと、正常な空気も区別して、選別して防いでいるお……?』

シルバーは嫌すぎる事実を思い出した。
あの豚人間に、膨大な数の初期型ダイナマイトをぶつけた時――アイツは無傷だった。


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爆弾の煙が、風に流された。
煙が去った後には、消し飛んだ豚人間……ではなく、全く無傷のドンが居た。
岩山を砕けるダイナマイト1万本の火力を、見事に防ぎ切った事を意味する。
しかも、不意打ちの爆風を。絶対に対処できない攻撃を、地上の豚は防いだのだ。

『爆風って秒速何mだったお?』
『これだけ爆発したら、爆風も音速だろ……?』


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