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031「妖精さん、遺伝子を検査する」3章おしまい
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の染色で染め上げ、細胞を生きた状態で停止させるために、固定と呼ばれる作業を行った。
あとは、顕微鏡のレンズの拡大倍率を上げて、一つの細胞をじっくり観察すれば良い。
まずは40倍の倍率。次に100倍の倍率――この時点で、400個以上の細胞がシルバーの視野に収まる。
さらに倍率を上げて400倍――体細胞が、クッキリ、見えた。

「あれ……?」

『どうだったお?』
『恐らく……ここまで人間に近い外見なのだから、結果は簡単に想像できるな……。
まぁ、空を飛べる時点で、可笑しいのだが……』

「なぁ……細胞って、真ん中に細胞核っていう丸い奴があるはず……だよな?」

『ああ、そうだ。
細胞核が分裂して、細胞がどんどん増える仕様だが、それが何か?』

「俺の細胞核……丸い事は丸いんだが……工場みたいな外見なんだ。
スターウォーズのデス・スターみたいな感じ?」

『惑星破壊できる巨大要塞な外見とかwwww何それすごいwwwww』
『妖精さん、意味がわからん』
『詳細な説明を求めるお』

「普通の細胞核って、ミミズみたいな形に分裂して、細胞をどんどん増やすけど……俺の細胞核。
小さな穴から虫型の機械っぽいものを、大量に出してる。
これって普通なのか?」

ネットの皆は急に黙り込んだ。
それ、動物どころか、植物の細胞だと考えてもありえない構造だからだ。
細胞核は、細胞の中枢であり、細胞内構造物に命令する司令塔であり、生物を構成する設計図の塊。
それが工場みたいな形をしているなんて、ありえないにも程があった。

『妖精さんは、人類の子孫どころか、動物の子孫ですらない件!?』
『もう少し、長く観察するのです!』

「あ、うん。
なんか怖いけど、俺、頑張るよ……」

ホラー映画を見ているような感覚を味わったが、シルバーは観察を続行する。
ネットの皆が飽きないように実況し続けた。
細胞核から、大量の虫型ロボットが出て、それらが細胞内にある設備を修理したり、細胞から飛び出て、隣に新しい細胞核を建造する様子などなどを、述べる。
どうやら、亜人には、染色体は存在しないようだ。代わりに機械化された工場――細胞核(機)とも呼ぶべきものがある。

『ちょwwおまwwwww染色体がないとかwwww
どうやって生物としての多様性を保つ気だよwwww』
『つまり、どういう事だっ……?』

「前……亜人のほとんどが、不老長寿だって、プラチナが言ってた。
老いて死ぬ種族は極僅かだって」

『え?なんだ?』
『どうしたんだ?』

「ほら、細胞って分裂する度に劣化して、テロメアって奴が短くなって、いずれ、限界を迎えて細胞分裂が出来なくなるって、映画でよく言ってるだろ?
クローン人間が出てくるSF映画
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