開放感に負けてしまって 【ナイル川に住むワニ】
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って遮られた。
お尻から上半身へ、上半身から顔へ。そして口に指をねじ込んで真姫の口を封じた。
男は無表情で『医学書』に視線を向けたまま。下品な笑みや、羞恥の顔をすることもなくただ、無表情で。
それが真姫の奥底に眠る欲を掻き立てるものとなる。
じゅぼじゅぼちゅぱちゅぱと自ら彼氏の指を嬉しそうに舐める真姫を、彼女の仲間はかつて見たことがあったどろうか...?いや、無い。
「ぷはっ!はぁ...はぁ...」
「なんだ?もう終わりか?」
「う、うるさいわね」
蜘蛛の糸のようにキラキラ光るソレは真姫の口から零れた唾液。
ソレが彼の指と繋がっていて、真姫は恍惚な笑みを浮かべる。
「なんだお前。もう出来上がってんじゃねえか」
初めて彼は『医学書』から視線を外した。
ちょうど其の時、電車が駅で停まる。
『渋谷、渋谷。お降りの際はお荷物のお忘れの無いようご注意ください』
「ほら真姫。着いた。戻って来い」
「......まだ、」
「あん?」
男が電車から降りても真姫は一向に降りようとはしない。
足元がわずかに震えている。
そろそろ限界か...
と、彼は思った。
「私、もう限界よ」
「ほぉ?それで、俺にどうしろと?」
「だから、ね」
真姫はよろよろと、おぼつかない足取りで彼の元にすり寄る。
彼女から何かが滴り落ちるのを確認。
「ねぇ、このあと...しよ?」
「......とんだ変態だな」
「アンタが、こうして私をこうしたんでしょ?せ、責任はとりなさいよね」
口元から唾液がこぼれていることを認識していない。
ただただ、真姫は彼の瞳をじっと見つめていた。嬉しそうに。やっと彼に構ってもらえると。
はぁっと溜息を零した男は『医学書』にしおりを挟んで鞄にしまい、代わりに小さな長方形な”何か”を手にしていた。
男は、その小さな”何か”に記載されている”強”というボタンを躊躇うことなく。
...押した。
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