その微笑みは...... 【雪桜(希う者)】
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飯だけ食ってどこか適当に行くか。
ひとまずはどこか店を探すことにした。
━━━━━
結局はファストフードで済ませた。今の彼の心においしいなんて感じられるだけの余裕などなかった。感じているのは満腹感だけだった。
結局帰ることもしにくく何となく近くにあった駅に入った。
一応電子マネーを持っていたため改札口は通れた。
階段を昇る。ホームではうるさいくらいにアナウンスと自動音声が鳴り響いている。
(ここで電車が来る瞬間に線路に落ちてしまえば死ねるのかな……、死んだら楽になるのかな)
彼のなかで黒い感情が渦巻く。
死にたい。
悲痛な叫びをあげる彼の心。葛藤する想い。
生き続けて"苦しみ続ける"か
死んで"苦しみから逃げる"か
すでに傷が深く刻み込まれていた彼の精神は後者を選択した。
そんなときアナウンスが入る。電車の接近を知らせるもの。
(これで死ねる。これで誰にも迷惑にならない。)
それでも心は傾ききってはいなかった。どうしても死にたくないと思っていた。頭ではそう考えていても足がうまく動かせなかった。
それでも無理矢理に体を動かす。さっきの電車は行ってしまったが帰宅時間帯だからすぐに来る。
心を決めてホーム端に立った。あとは少し前に倒れるだけで死ねる。
腕を掴まれないよに前に出しておこう。
教科書類がたくさんはいって重いかばんを背負ったまま倒れよう。
再びアナウンスが入る。次の電車が来ることを知らせるものだ。
まだ戻れる。でも今更引き返すことができるほどの勇気はなかった。
静かに目を閉じる。
さあ、倒れこもう。
倒れこむ瞬間、なんだか後ろから押された感じがした。
足が浮く。浮遊感を体に感じる。
ホームに入ってくる電車のミュージックホーンが聞こえる。
これでなにもかも……………………、
━━━━━━━━━━━━━
ここは……、どこだ……
なにもない場所だ。
そうか、死んだのか。
案外あっけないものだな。
あ、真姫!
話したいことが山ほどあるんだよ。
こっちで話そうぜ。
(……)
どうしたんだよ?どうして来ないんだ?
どうしてそんなに悲しそうな顔をしているんだ?
(………………………)
あ、まって!行かないで。話したいことが、もっと近くにいるだけでもいいんだ!
だから、待ってくれ
真姫、真姫、まき、まき、まき、まk……、
━━━━━━━
ピッ……、ピッ……、ピッ……、
一定のリズムを刻む電子音が聞こえる。
体が動かせない。
そこで、そっと目を開ける。
(知らない天井だ。ここは……、病院か?
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