loss of memory〜幸せの意味〜 【アラタ1021】
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うになるがなんとかドアノブを掴むことでバランスを保つ。
やっと心の通じあった仲間に会える。そう安心していた。
しかし
室内に入った瞬間、見慣れた三年生の美人二人、加えて他に生徒会メンバーの視線が一斉ににこちらに向く。拒絶感とでも言うのだろうか、空気は一瞬にしてに凍りついた。
出ていけと言わんばかりの表情。いや、それ以前に皆一様に驚いた様子かな。
花陽はいつも一緒に踊り、そしてこれからも一緒に歌い続けるであろう仲間の顔を確認する。
クールで、皆のあこがれの先輩。絵里ちゃん。
優しくて、まるでお母さんみたいに暖かい先輩。希ちゃん。
乱れた室内の空気。
突然の闖入者に、部屋の再奥部に座っていた金髪の美少女はゆっくりと立ち上がる。一歩一歩近づき、花陽の目の前で立ち止まった。
「何の要件ですか? 非常識ですよ。会議中にノックもなしに入ってくるなんて」
「エリチ、その子誰‥‥? うちらの名前知ってたみたいやけど」
花陽はまだ、何も知らない。
※※※
生徒会室を後にして、花陽は学校の図書室の前に訪れていた。
まさしく途方に暮なんて表現がしっくりくる。トボトボと歩き、なんとなく立ち止まって目の前を見る。
あれ‥‥、私、なんでこんなところに来たんだろ。
半ば朦朧とした意識の中、そんな思考が浮かび上がる。多分、とりあえず校舎を巡っているとたどり着いたんだろうな。もちろん、なぜここで立ち止まったのかなんて自分でも分からないけど。
花陽は、疲れと戸惑いのあまり特に何も考えないまま室内に入り、読書用に設けられた席に腰を下ろした。色々なことがおかしすぎるのと、さっきまで階段を駆け上がって疲れた身体は、チェアマットレスの反発を快く受け入れる。
そのまま一息。乱れた呼気を整えつつ、数回瞬きをして目の前の景色を見る。
「‥‥‥‥」
無言。
「‥‥‥‥」
無言。
「‥‥‥‥」
無言。
その後は一切、ため息すら出なかった。今日という日に起こったすべてのことに唖然としすぎて、そして考えることの多さに脳内が疲れたと悲鳴をあげる。
私‥‥これからどうしようかな。
ここまで来たらもう自分の力ではどうにもならない。それが分かっているからこそ自分自身に問うてみる。
人の心理というのは、追い込まれれば追い込まれるほど壊れやすくなり、そして折れやすくなるもの。
実際、今の花陽はそんな心理状況だった。
一応簡単に、朝から今までに起きたことを軽く整理してみる。
まず事の発端は、今朝待ち合わせ場所に凛ちゃんが来なかったこと。あの時点
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