loss of memory〜幸せの意味〜 【アラタ1021】
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以前、穂乃果が学園祭のライブで倒れたあのイレギュラーが起きた時に一度μ'sの練習は激減したけれど、その後春人のおかげで復活してからは、平日と土曜日の午前は必ず行われている。それに、もうすぐラブライブ本戦。そんな時期に、何の予告もなく休暇を作るなんて事はいくらなんでも考えにくいし、もしもそんな予定ができるほどなら予め自分にも連絡されているはず。
花陽は数秒、目の前の光景に立ち尽くした。
「どういう‥‥こと?」
黙っているのが怖すぎて、あえてわざわざ口に出してセリフを言ってみる。
誰も居ない室内。いつもなら皆の笑い声で賑わっているそこに、たった一人自分の声だけが溶け渡った。
絶対普段の自分なら信じない状況だと思う。でも、朝から明らかに様子がおかしいクラスメイトや、実際に今見たこの光景。
信じ難いけど、何か大変なことが起きてるのは事実。
あ、あれれ。
あれ‥‥? あれ?
どういうこと。
どういうこと。
どういう‥‥こと?
まともに頭が回らない。朝から凛と真姫の様子もおかしいし、この状況も‥‥。
‥‥これ、もしかして夢?
何一つ予期していなかった緊急事態に、花陽の頭にはそんな想像さえも浮かんだ。
否。
こんなに意識がはっきりとしていてそんなことは無いだろう。事実その証拠に、先程から恐怖のあまり握り込んでいた両手には痺れも微量な痛みも走っている。
じゃあこの状況は‥‥? 同説明するの?
これはこれで振り出しに戻る形だ。何がどうなっているのか、全くわからない。
遂に膝が笑い出した。
「う、うぅ、だれか、だれか‥‥ダレカタスケテーー!」
バタン!
花陽は自身の中に募った恐怖のあまりに、部室を飛び出し階段を脱兎のように駆け上がった。
‥‥怖い。怖すぎるよ!
凄まじい恐怖心が花陽を包み込む。『廊下は走るな』などと戯言の書かれた掲示板など丸無視して全力で廊下を駆け抜ける。どんな歩幅でどれだけ走ってるかなんてちっとも分からないけど、ひたすら逃げるばかり。
行く場所は決めていた。
一歩一歩転ばないように、それでも自然と足の動きは早くなる。
元より体力がない自分がこんな豪快に階段をダッシュするなんて。普段の練習じゃとても考えられない。火事場の馬鹿力とういのは本当に実在するようだ。
音ノ木坂学院。B棟四階。
半ばがむしゃらに走り、行き着いた先。
「絵里ちゃん! 希ちゃん! 大変!」
そう、花陽が向かったのは生徒会室だ。
力強く扉を開く。失礼しますの断りは愚か、ノックすらしないで勢いのまま乗り込んだ形だ。
思わず力のこもった手で思いっきり扉を開けてしまい、ブレーキがきかずこけそ
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