loss of memory〜幸せの意味〜 【アラタ1021】
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だからこそおかしい。花陽は自身の下唇を軽く噛む。
いつも待ち合わせをしている親友が来ないうえ、さらには連絡一つよこさない。それだけでも彼女の不安を募らせるには十分の要素だった。
「どうしよう‥‥」
不安を紛らわせようとあえて口に出して呟く。変な人に絡まれてたらどうしよう‥‥。もし事故にあったりしてたら‥‥。
幾度出てくる不安要素。自身の元来である心配性が花陽の思考を乱す。
彼女はチラリと、春人と凛にもらったお気に入りの腕時計を一瞥した。
一応まだ時間的に余裕はあるが、それ以上待ってしまうと今度は自分が学校に遅刻してしまう可能性がある。もちろん遅刻はしちゃいけないことだけど、やっぱり連絡が無いのは心配だし‥‥。
うぅ‥‥凛ちゃんごめんね!
花陽は自分のスマホのLINEを開き、凛に先に行くことを伝えると、少し足早に歩みを動かした。
だ、大丈夫‥‥だよね。もしかしたら凛ちゃん、先に学校に着いてるかもしれないし。
そう、自分に言い聞かせながら。
花陽はまだ、何も知らない。
※※※
至極不安な心持ちで学校に到着すると、結局凛は既に席に着いていた。
彼女はいつものように何人かのクラスメイトとお喋りをしており、その可愛らしい笑顔を周囲に振りまいている。
なんだぁ、良かった‥‥。
花陽はそっと自分の胸を撫で下ろした。
凛から連絡が来てなかったことが本気で心配だったからだ。もしかしたら交通事故にでもあったんじゃないかとか、変な人にからまれてるんじゃないかとか‥‥。
しかしいつもの光景を見てそんな不安は一気に消失した。きっと凛の笑顔がそこにあったからだろう。杞憂に終わって本当に良かった。心から彼女はそう思う。
「おはよう凛ちゃん。心配したよー。朝連絡来てなかったから事故にでもあったんじゃないかぁって。でも良かった。今度からは早く行く時はちゃんと連絡してね? 私心配性だから‥‥」
何気なく話かけながら、凛の前に位置している自分の席に腰を下ろす。
デスクの引っ掛けにカバンをかけ、凛がいる後ろを振り向くと、よくわからなことが起こっていた。
「‥‥‥‥?」
凛は花陽の方を向いたまま、きょとんと不思議そうに首をかしげている。花陽から見ても羨ましいほどパッチリした綺麗な瞳でこちらを見つめていて、まるで『何のこと?』と言わんばかりの疑問顔。
「凛ちゃん?」
「え、えっと、誰ですか‥‥?」
「へ?」
凛の放った言葉は、とても衝撃的だった。
いつもの純粋無垢。凛は全くもって不信感やそれに類する感情を含んでいない表情で花陽に問うた。
花陽は面食らっているも
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