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暁ラブライブ!アンソロジー【完結】
loss of memory〜幸せの意味〜 【アラタ1021】
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とある平日の放課後。
 国立音ノ木坂学院高校にて。

 部室棟の一階に在するアイドル研究部の部室。普段より音ノ木坂学院のスクールアイドルである『μ's』が使用するこの部屋は、着替えや荷物の保管などはもちろんのこと、新曲等を作る際のミーティングルームとしても使用されている。
 九人という大所帯で使用するにはいささか広さの足りない部屋だが、いつも楽しく活動しているのだろう。普段からメンバーの笑い声が絶えないという評判の場所だ。

 だが、今日ばかりはそんな雑然とした雰囲気はどこにも見当たらない。さらにいえば、すぐ隣の部室や教室のそれとは明らかに質の違う虚無感に包み込まれていた。

 時刻は一月十五日。十六時八分。
 メンバーの一人が全員の前で腕組みをし、目視で関係者が全員出揃ったことを確認する。


 遂に、静寂が壊された。


「さあみんな! いよいよ明日からの二日間。花陽に例のドッキリを敢行するわよ!」


 黒字で埋め尽くされそうなほど念入りに文字が書き込まれたホワイトボードの前に立ち、今時にしては珍しい黒髪ツインテールの少女は代表して力強く宣言した。

 矢澤にこ。ここにいる彼女達スクールアイドル部の部長である。
 特徴は先に言った通り、その黒髪と少し華美な色をしたリボンで結ばれたツインテール。他のメンバーには見受けられないピンク色のカーディガンを羽織っており、存在感では他者と一線を画す。
 
 現在この部屋にいる面子は、部長のにこ、そして協力者である春人を含めて全部で九人。
 本来ならばメンバー+春人で合計十人なのだが、あらかじめターゲットに今日の練習は休みだと嘘の情報を伝えているのでひとり少ない形となっている。

 にこの宣言に対する反応は各々違うようで同じだった。
 特に花陽と同じ一年生の真姫と凛は躊躇うような表情を浮かべたものの、何度も話し合いを持ち、作戦を練り直してきたこれまでの経過を思ったのかすぐに平常の顔つきに戻る。
 二年生の穂乃果、ことりはいかにもやる気という表情。海未は一年生に近い反応を浮かべる。
 三年生組はやはり年長だからだろうか、終始落ち着いた面持ちだ。


「一応再度確認をするわ。今回のテーマは皆も知っての通り、いわゆる記憶喪失ドッキリ。花陽以外の全員がこれまでの記憶を忘れて、みんなμ'sや花陽との思い出がリセットされている状態よ。付け加えて凛に関しては、幼い頃の記憶も無いという設定だから注意すること。それと、にこだけは特殊な役柄だから、できる限りいつも通りにしておいてね」

 にこに続き、もう一人の三年生メンバーが立ち上がり説明を行った。
 
 絢瀬絵里。ここ音ノ木坂学院の生徒会長を務める三年生であり、μ'sのダンスリーダでもある。
 ロシア人
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