第2章 魔女のオペレッタ 2024/08
最後の物語:感情の名前
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からすれば好奇心を満たすものではない。ずっと抱えていたモノを確かめる為に、ただ不安を解消するための質問。
こんなにも、怯えながら誰かと相対したことはあっただろうかとさえ思えるほど、答えを返されるまでの間が重く圧し掛かってくるようにさえ感じられるなか、首を傾げたみことは居住まいを正すと、あっけらかんと問いに答える。
「平気だけど、どうして?」
「………………え?」
「え?」
あっさりと、呆気なく不安が解消された。
「え、いや……だってぇ、料理だってちゃんと作れないですしぃ、ご不便をお掛けしてるかな〜って思いまして〜………」
「料理出来ないと、平気じゃなくなっちゃうの?」
「い、いいえ、そういうわけじゃないですけどぉ………」
言葉が詰まる。また、胸の奥に温かなモノを感じるが、それでも不安を拭えない。
不安な箇所を厳密に挙げるのであれば、一緒に居られるか否かではない。
みことが本心から自分と一緒に居ても良いと認めてくれているか。
このまま、ずっと一緒に居られるのかどうか。
――――自分に、みことの傍に居るに足る資格があるかどうか。
しかし、不安を余所にみことは再びピニオラに言葉を告げた。
「わたしね、お姉ちゃんと初めてあった時、すごくうれしかったの」
「………初めて会った時、ですかぁ?」
それは六日前、第一層でみことが複数の《軍》のプレイヤーに囲まれていた場面に起因する。
ピニオラからすれば、ただ目障りだったから排除しただけ。それなのに、みことはまだ他人に慣れていない中で必死にお礼をしてくれたことを、ピニオラは思い出す。
「あの人達にイジメられてる時は、みんな助けてくれないけど、お姉ちゃんだけが助けてくれたんだよ? だからね、わたし、すごくうれしかったの。………ホントはお姉ちゃんも恐かったけど、優しかったから大丈夫だって思ったの。コワイ男の人達からも助けてくれたし」
「優しい、ですかぁ? ………わたしが?」
そう評されたのは、恐らく生まれてから今まで経験のない事だったかも知れない。
誰かに善意を向けたことのないピニオラには、最も縁遠い他者評価。むしろ、現実では誰かと馴れ合うことにさえ煩わしさを感じていた彼女にとっては好ましいものではなかっただろうが、みことから告げられた言葉であったからか、嬉しくさえ思えてしまう。
「それにね、わたし、お姉ちゃんと一緒にご飯食べて、お話して、お出掛けして、お風呂に入って、同じベッドで寝るの、すっごく楽しくて、すっごく嬉しいよ? ………お姉ちゃんは、ちがうの?」
「………そう、ですかぁ…………そうですよねぇ」
探し求めていた、疑問への答え。
ただ純粋に、ありのままを感じ取
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