暁 〜小説投稿サイト〜
Lv.9999億の骸骨(勘違い物)・ω・`)ノ
Lv29「不死王の世界征服12〜反乱終了のお知らせ終〜」
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「残り1分!カウントを開始する!」

次にサムソンが意識を取り戻した時、やはり、何も見えない真っ暗な空間だった。
音と、手足の感覚だけが、生きているという実感を与えてくれる。

「50!40!30!」

拡声器で拡張された骸骨の声が、起きたばかりの脳みそに、激しい振動を与えてきて気持ち悪い。
落馬した時に出来た傷のせいで、膝を強く擦りむいていた。見えないが、恐らく(ひざ)から血が出ているだろう。

「20、10、0っー!」

骸骨のカウントゼロの言葉とともに、真っ暗闇な空間が一気に晴れた。
光に溢れた人間の世界が戻ってきて、サムソンは一息つく。
東の青い空には数十機のヘリが、煩い羽音を鳴らして滞空している。
後ろから、一瞬、ジッ!何かが焼けた音がした。それと同時に軽い痛みを感じる。

(あれ……?
なんで後ろが熱いんだ……?)

サムソンは嫌な予感を感じながら、ゆっくりと――背後の空間を確認した。
そこには、石造りの大都市が――半分ほど綺麗に消滅して、残された現場に、熱されて融解したガラスの谷が出来上がっている。
大きな谷だ。太い谷だ。とても長い谷だ。その谷は地平線の彼方まで続いている。
サムソンには理解できた。
これは――大魔王ワルキュラによる大虐殺だと。
オレルアン公爵も、都市の住民も、兵士の皆も、貴族のオマケどもも全員が蒸発して、あの世へと旅立ったのだと理解できてしまった。
身体が恐怖で震える。
こんな事ができる化物が恐ろしかった。人間が蟻を潰すのど何ら変わらない感覚での虐殺だ。
どうやって、このような大虐殺を実行したのか、視認すらできないから、余計に妄想が膨らんで、目から涙が出てくる。
人間の矮小さ、ワルキュラの壮大さを比較し、惨めな気持ちなってくる。
しばらくそうやって震えていると、遥か遠くから地鳴りが聞こえた。
この音は、地平線の遥か北から、何度も何度もドシーン、ドシーンと響いているようだ。
このガラスの谷が何処までも続いているのだとしたら――北の大山脈も消滅させてしまったのかもしれない。
なら、先ほどの地鳴りは、山脈が崩壊する音なのだろうか?
だとしたら、これは人の所業ではない。邪神の邪悪なる奇跡だ。

「お、俺たちは、なんて、ひどい化物と戦おうとしたんだ……」

実際に虐殺現場を目撃するまでは、ワルキュラの情報は、ただの噂や嘘だと思っていた。
新聞に書いていた事は本当だったのだ。
タコ型宇宙人とHANASIAIをしたとか、小さな女の子が大好きなロリコンとか、ドリーム・ワールドを作った張本人がワルキュラとか、骨なのにハーレムやっているとか、実は積極的すぎる平和主義者とか、そういう胡散臭いゴシップの類もきっと真実なのだろう。
それよりも今、重要なのは――


[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ