Lv23「不死王の世界征服E〜偉大なる慈善事業〜」
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ーは嫌な気持ちになった。
気分転換をするために、窓の方を見る。
馬車が移動して、商国の町並みがカーテンの隙間から見えた。。
帝国から購入した自動車という機械が、少数だが街中を動き回っている。
立派な建物の一部は、看板の数々を見れば、帝国を拠点に持つ大企業だと分かった。
「こんな所まで……大魔王ワルキュラの魔の手が迫っているなんて……。
一体、商国は何を考えているのかしら?
お金を稼げても、未来がなければ意味がないのに……」
道行く人々は、裕福そうな連中を多く見かけた。そんな所がとっても気に入らない。
商売で成り立っている国だけあって、お金持ちが多いようだ。
だが、やはり資本主義の闇もそこに広がっている。
一瞬、路地裏が見えた。貧乏そうな身なりの人間や亜人達が、嫉妬心混じりに表道を睨んでいた。
彼らは資本主義の恩恵を受けられなかった負け組だ。
富を至上主義とする社会では、有意義な労働力を提供できない底辺層は買い叩かれて、何の価値もない。
無職になった時点で、家と投票する権利を失うから、政治家も動いてくれない。
「こんな社会、絶対、間違っているわ……。
きっと帝国のせいでこんな事に……え?」
馬車は表道を通り過ぎる。
一瞬、本当に一瞬だが、可笑しい光景が見えた気がした。
「おーい!ワルキュラ様からの配給だぁー!
美味しいシチューだぞー!
たっぷり飲めっー!」
「シチューはムダが少ない完璧な料理なんだぁー!」
数人の白い骸骨達が、大きな鍋を持ってホカホカなシチューを、路地裏の貧困層に配っているように見えた。
とっても優しそうで呑気な光景だった気がする。
スターは十分ほど思考停止した後に――戦慄した。
「な、なるほどっ……!
ああやって人間を懐柔して……最後に裏切って……!
絶望させる気ねっ……!
なんて悪辣な化物なのかしらっ……!
骸骨の癖に、こんな事までやるなんて……悪党にも程があるわよっ……!」
悪の帝王ワルキュラ。
実際に会った事はないが、外見が骸骨だから、きっと分かり合えるはずがない。
異なる価値観と価値観は衝突するのだから。
「商国にここまで化物が浸透しているなんて……人類はもう駄目かもしれない……」
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首相「食料支援は成功しておりまする、ワルキュラ様
(民衆を味方につけて、いずれ征服なさるための準備に違いない)」
ワルキュラ(イメージアップになったら良いなぁ……)
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