Lv19「不死王の世界征服A〜人間王国〜」
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殿じゃなくて、ワルキュラ『さま』な。
これからアンタらの飼い主になるんだ。言葉遣いには注意する事だな」
「くっ……!」
「さぁ?
どうするんだ?
降伏しないなら、アンタを殺して、俺が成り代わって降伏するだけだぜ?
さっき、俺が化けていた騎士みたいになぁ。
俺は政治家やった事がないから、きっと碌でもない圧政になる自信があるぜぇ。
例えば、そうだな――アンタが憎む馬鹿貴族みたいな政治をやるだろうなぁ」
「ま、まさかっ!?」
コルベールの脳裏に、恐ろしい想像が迸った。
この国が腐ったのは、貴族達が腐敗したのが原因じゃなくて――目の前のドッペルゲンガーが殺して成り代わって、わざと悪政をした。そう考えれば、全ての矛盾が解決する。
そう思い込みたかった。
「おや?お前らの腐敗を、俺らのせいにするのか?
そりゃないぜ?責任逃れはよくないって、ワルキュラ様も言ってるぜ?
この国が傾く原因を作ったのは、2代前の戦争王が、戦争しすぎたせいだろう?
まぁ、俺たちは長生きだから、その頃から暗躍する事は可能といえば可能なんだがな」
「くっ……!こ、降伏の条件は!?」
「帝国の衛星国になる、ただそれだけだ。
もちろん、オタクらの王様の地位は弱体化させるが、国の象徴として残しておいてやるよ。
長く続いた王朝ってのは良いねぇ。
頂点を抑えれば、人民は家畜みたいに支配しやすい。
国がこれだけ腐敗しても、潰れないのは伝統のおかげだったりするのかねぇ?」
人間王国の歴史を終わらせる訳には行かなかった。
王朝が存続するなら、まだチャンスはある。
それに、帝国に従属するメリットがあった。
既得権益の解体。そして、借金を全て帳消しにできる。
一時的に、国の信用は皆無になってしまうが、この末期的な状態が続くよりは遥かにマシだ。
問題点があるとすれば――ワルキュラが何を考えているのか?その一点だけがコルベールには恐ろしい。
国は損得で動く。あの化物もきっと、この国を通じて利益を出そうと企んでいるに違いなかった。
それに選択肢は残されていない。全ての可能性を削り取られて、一本の道しか見えない。
「わかった、遺憾ながら降伏しよう……。
名誉ある扱いを頼む」
「良い判断だ。
きっと首相閣下は、良い地位を約束してくださるぜ。
国を売り渡した売国宰相ほど、価値がある駒はないからな。
アンタは国民を守るために、国民に恨まれるんだ。
成功しても、失敗しても、民衆の怨嗟はアンタに向かう事になる」
その言葉に、コルベールは歯を強く噛み締めて耐えた。
今までは、国民が支持してくれたから、辛い宰相生活を乗り切れた。
だが、肝心の国民を敵に回して、政治家をやるのは――とんでもない地獄だ。
今までの真っ当な
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