Lv18「不死王の世界征服@〜大飢饉〜」
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帝国の宮殿は、夜中が一番騒がしい。
公務員の大半が、アンデットと呼ばれる不死者で構成されているせいで昼夜が逆転している。
ワルキュラは昼も夜も好きだったが、皇后のルビーが吸血姫で、夜が大好き。
必然的に、宮殿での生活は夜だった。
「ワルキュラ様」
その愛らしい声に、ワルキュラは振り返った。
居間に、小さな銀髪の女の子が入ってくる。高そうな黒いドレスを着た、ルビーだ。
左手に穴が開いて、萎れている新聞を持っている。
「今日は凄い大ニュースっぽいです、東の人間王国が水不足による大飢饉とか、局地的に温度があがって、湖が干上がって、作物が枯れたとか書いてました」
そう言って、ルビーはワルキュラに新聞を渡す。
新聞紙に穴が空きすぎて、骨の手で掴むのも大変だったが苦労して、ページを一枚一枚めくり、隣国の状況を知る。
こういう情報は、スクープを掴むために、日夜頑張っている民間の報道機関が早くて便利だ。
「うむ……飢饉か」
新聞には、人間王国の飢饉で、数百万の人間が餓死する可能性があると書かれていた。
帝国と人間王国は、とっても外交関係が悪いせいで、食料を低価格で輸出する事ができない。
このまま状況を放置すれば、新聞が書いてある通りの大惨事を迎えるだろう。
(餓死か、それは最悪な死に方だな)
骸骨の体になったせいで、飢えて苦しむという感覚を忘れてしまったが、人間は飢えれば自我が崩壊して獣になってしまうと聞く。
草木すら食べ、子供すら殺して調理して食べるダーク・ファンタジーな光景がそこら中に広がると思うと、可哀想だった。
「ところでワルキュラ様……学校生活どうなってます?」
「不幸な事故があってな……未だに休校中だ。
それよりも、この大飢饉は大変だ。
このままでは大勢の人間が死ぬと……書いてあるな」
「ワルキュラ様を馬鹿にしている国の人間ですし、何人死んでも良いと思います」
「そう言うな。困った時はお互い様だ。
政府同士の関係が悪くても、民草には関係のない話だぞ、ルビー」
「さすがはワルキュラ様です!
人間の悪意なんて、そよ風に過ぎないって事ですよね!」
「う、うむ……蟻がやる事を一々、怒っていたら切りがないだろう?」
そう言って、ワルキュラは衛星携帯電話を異次元から取り出した。
番号を押して、ポチッとな。
電話がプルプルと震えた後、相手先の電話へと繋がった。
『もしもし、こちらは首相官邸です』
「その声はホネポ首相だな?
俺だ、ワルキュラだ。
東の人間王国が大飢饉になっている事は知っているか?」
『はい、存じております』
「人道支援とやらは出来ないだろうか?」
『既に軍の準備はできております。
ありとあらゆる【障害】
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