Lv1「不死王、転校する」
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国立魔法学園。とある普通の国にある、とても有り触れたエリート学校だ。
変わっている所は、優秀な才能があれば、奨学金という制度で、平民の子弟も学校に通える事。
だが、秀才程度の才能で、貧民出身となると――奨学金は借金という名前に変わり、貸してくれる金額が少なくなって、利子も付き、金銭的負担が重くなる……キーニャンは、懐の財布の軽さを実感するともに、ため息を吐いた。
彼女は金髪の愛らしい狐娘。フサフサな黄金の尻尾が魅力的な巫女さんだ。
学生服が高くて購入できないから、代わりに家から持ってきた巫女服を着ている。
今、彼女は、教室にある、木製の椅子に座り、窓の外を見て、途方に暮れていた。
(はぁ、私の青春って灰色だよね。もう、救われないシンデレラさん?
アルバイトで忙しいし、セクハラされるし、貴族どもは鬱陶しいし、頑張らないと良い就職先ないって言われるし、薔薇色の青春時代を安心して送れないよ……
出来れば、金持ちで年下の彼氏とか作りたいなぁ……。
でも、この学校の男どもときたら、うざったくてキザな貴族ばっかりだし、無理して付き合っても愛人扱いか、捨てられて終わりだろうなぁ。
私ってなんて不幸なんだろう……もっふふー)
私って不幸、そう思ってワンコインすら使わない妄想遊びに彼女は耽る。
現状を変える『イケメンな彼氏』が欲しい。
それがキーニャンの望みだった。
出来れば、心もイケメンで、金持ちで、将来性があって、優しかったら、完璧だ。
(まぁ、そんな素敵な男性なら、私と出会う前に素敵な恋人がいるだろうし、望み薄だよね……私って本当に不幸だなぁ……もっふふー)
憂鬱な妄想遊びにキーニャンが耽っていると、教室の扉が開き、黒い礼服の若い男……ダメダ先生が入ってきた。
しかし、いつもと様子がおかしい。
まるで――後ろから銃口を突きつけられ脅迫された人質みたいに、先生の体が、恐怖で震えているのだ。
「み、皆〜、て、転校生を紹介するぞー」
先生の口から出るのは、平凡な内容なのに、どこか違和感があった。
いや違う、一番の違和感は先生じゃない。
教室の外にいる『誰か』だ。キーニャンどころか、クラスメイト全員の心臓がドクンッ!ドクンッ!と激しく脈動する。
視線を逸らし、扉にいる『誰か』を見ないように深く注意している。
空気は軽いはずなのに、キーニャン達は水の中にいるような重さを味わって、息が苦しい。
この場から逃げ出したい気分になった。
「そ、宗主国からやってきた。
ワ、ワル……」
ダメダ先生の、転校生紹介はそこで途切れた。
ストレスで頭の欠陥が千切れて、教壇に倒れ、口から泡を吹いて気絶している。
その直後だ。教室の入口から、皆を恐怖させる『誰か』が入ってきたのは――
「ん?どうした先生殿
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