Lv1「不死王、転校する」
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キュラは骸骨の癖に、性欲絶倫オッパイマスターという謎の噂まで立っているから、キーニャンは狐耳を隠しながら、時が過ぎるのを待つしかない。
「さて、俺の席はどこだろうか?
おお、ちょうど一番後ろの席があいているな。
青春って奴を感じるぞ、うむ」
「もっふぅ……?」
だが、キーニャンの期待通りに、物事は進まない。
彼女の隣の席に、ワルキュラが歩いてやってきた。
木の椅子に豪快に座り、友好的に話しかけてくる。
きゃー!私の隣に独裁者がきたー!?助けてぇー!という悲鳴すら、狐娘は上げられなかった。
「これから一年、よろしく頼む。
君の名前は、なんと言うのかね?」
積極的に、隣人と関係を持とうとするワルキュラ。
このまま黙っていたら、キーニャンは不敬とか、不幸とか、購入して学生生活が終了すると、彼女は判断した。
深呼吸して脈拍を落ち着けた後、キーニャンはワルキュラに引き攣った笑みを見せて――
「わ、わたしの名前は、キ、キーニャンです…」
「キキニャーンか。
ジブリ映画っぽい、変わった名前だな」
「い、いえ、キ、キ、キーニャンです……」
「キキキニャーン?
なんて呼び辛い名前なのだ。
長いからキーニャンと呼んでも良いだろうか?」
「は、はい、あ、ありがとうございます……?」
恐怖で震えながら返答して、キーニャンは気づかされた。
今日から、学園生活が灰色だって。
隣が独裁者でアンデッドで、ラスボスとか、もう死ぬしかない。
テレビゲームで例えるなら、スタート地点に、大魔王の城があるようなものだ。
「うん?どうした、キーニャン?
顔色が悪いぞ?」
そう言って、ワルキュラの骸骨顔が近づいてくる。
真っ赤に輝く眼窩が、もう怖くて怖くて、キーニャンは、この世から逃げ出したい気持ちになった。
(だ、駄目ぇ!こ、殺されるっ……!
大量虐殺をしまくった史上最悪の独裁者に、魂すら陵辱されて、こ、殺され……)
ここで狐娘は意識を失った。豪快に椅子から転げ落ち、狐耳が下に垂れる。
ワルキュラは慌てて、彼女を抱き起こして、体を揺さぶった。
オッパイでけぇな、おい!と思いながら、彼はキーニャンに呼びかけを行う。
「持病の発作か!?
起きろ!起きるんだ!」
回復魔法がある事すら忘れ、ワルキュラは叫ぶ。
そして思った。こういう時、一般人は――保健室、いや、この場合は救急車を呼ぶという事を。
名案が思い浮かんだワルキュラは、生徒たちに輝く瞳を向けて――
「おい!誰か!
救急車を呼べ!」
そんなハイテクな物があるのは、お前の国だけだよ!と生徒たちはツッコミを入れたかった。
だが、ワルキュラが放つ負のオーラに威圧され、次々と生徒たちは気絶し、机に倒れ
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