Lv1「不死王、転校する」
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過労か……?おい、しっかりしろ!
衛生兵を呼べ!」
それは大きな骸骨。身長3mのアンデッド。紫色の豪華なローブを纏っている。
顔を隠すためか、大きな白い仮面をつけていて――何もない眼窩が真っ赤に光っているから、特に意味はなかった。
仮面があっても、生徒たちには……目の前のアンデッドが、世界の敵と言っても過言ではないほど邪悪な大魔王だと、すぐに理解できる。
「ここまで仕事に熱中するとは……教師の鏡だな、うむ。
教師はブラックな仕事とは聞いていたが、過労で倒れるほどとは知らなかった……。
無理はいけないぞ、先生殿。
きっと、部活動の面倒まで見て、休日すら返上したのだろう?」
隣国の独裁者ワルキュラだった。
キーニャンは、魂すら凌辱された感覚に陥って、涙目になる。
(宗主国の支配者じゃないですかー!
やだー!私の青春おわったー!?)
この場にいる生徒全員が、キーニャンと同じ気持ちだった。
担任のモウ・ダメダ先生は、ワルキュラの部下である骸骨達に担がれて、保健室へと連行され、この場から姿を消した。
だが、生徒たちから見れば、この光景は『先生が粛清され、あの世に行った』としか思えないほどに切迫感溢れる場面にしか見えていない。
保健室じゃなくて、死体安置所に強制ゴールinしたとしか思えなかった。
(わ、私の青春は……終わりですかー!?
やだー!助けてー!
神様!魔王様!邪神サマー!私の妄想彼氏様ー!
神社のお賽銭を盗んで、アイスを食べてすいませんでしたぁー!助けてー!)
狐娘の悩みを余所に、ワルキュラはクラス中の生徒の顔を見渡し、場を仕切り直すために、先生に代わって宣言した。
「俺が転校生のワルキュラ……じゃなく、ワルだ。
気安くワルと呼んでくれ」
(宗主国の支配者を呼び捨てなんて無理ぃー!
きっと、あれだよね?
文句がある奴は、表にでろや!とか、そういう意味だよね!?)
ワルと呼べば殺されると理解したキーニャンは、狐耳が元気を失って下に垂れた。
生徒たちは、この時点で半分が気絶し、机で居眠りするような感じに、自然に倒れている。
しかし、ワルキュラはそんな事には気づかずに、慈愛に溢れた口調で――
「……朝から居眠りの生徒だらけか。
夜更かしは良くないぞ」
アナタ様のせいで、気絶しているだけですよー!
というツッコミは、キーニャンには勇気があったとしても言えない。心の中で留めた。
「あと、この仮面は、酷い火傷を隠すためにつけているんだ。気にしないでくれ」
ローブの隙間から骨が見えている時点で、説得力ないですよー!
やはり、このキーニャンの心の叫びも、口から出なかった。
独裁者の注意を引いたら、待っているのは栄光か、破滅のみ。
しかもワル
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