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独善者
第二章
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「だからだ、そうした者達をだ」
「国王派、旧教の者も含めて」
「全て抑える必要がある」
「ことと場合によっては」
「強い手段にも訴えますか」
「私には力がある」
 迷いのない強い声でだ、クロムウェルはこうも言った。髪を長く伸ばした精悍な顔には一点の淀みもない。
「だからだ」
「いざという時には」
「そうしますか」
「兵を動かしますか」
「いや、いざという時ではなくだ」
 すぐにという言葉だった。
「もうだ」
「今からですか」
「兵を動かしてですか」
「議会派の他の派閥を抑える」
「そうするのですか」
「そしてだ」
 クロムウェルはさらに言った。
「勿論国王派の残党もでありだ」
「アイルランドも」
「あちらもですか」
「全て抑える、軍を使いだ」
 そのニューモデルの軍隊をだ。
「そしてだ」
「一気にですか」
「全ての勢力を抑える」
「そうしますか」
「一気には無理でもだ」
 それでもというのだった。
「軍を使いだ」
「力で、ですね」
「他の者達を抑える」
「そうしますか」
「力は使うものだ」
 やはり淀みのない声だった、一切の迷いのない。
「だからだ、軍を使い抑えるぞ」
「わかりました」
「それでは」
 同志達も頷いた、彼等はクロムウェルの指導力とカリスマに心酔していたので従うだけだった。こうしてだった。
 クロムウェルは動いた、議会でもそうであり軍も動かして。
 自分と意見の違う者達を排除してだった、アイルランドにも攻め込み。
 虐殺さえした、これには多くの者が驚いた。
「あそこまでするのか」
「アイルランドに対しても」
「確かにあそこは旧教だが」
「国王に近いが」
 それでもというのだ。
「あそこまでするか」
「各地で虐殺し徹底して弾圧をするのか」
「あれでは国王より酷いのではないのか」
「むしろ」 
 こう言うがだ、だが。
 クロムウェルの権力は最早絶対のものとなっていた、そして。
 彼は投降した国王についてだ、こうも言った。
「国王は処刑だ」
「王をですか」
「そうされるのですか」
 このことにもだ、多くの者が驚いた。 
 そしてだ、彼等はクロムウェルに口々に言った。
「国王を処刑する法はないですが」
「それでもなのですか」
「国王を処刑する」
「そうされるのですか」
「そうだ、決めたのだ」
 揺るぎない言葉で言うクロムウェルだった。
「この国の為にな」
「王権は否定すべき」
「絶対王制、カトリックもですか」
「全て」
「清教こそが正しい信仰である」
 クロムウェルは自身が信じる宗派を絶対のものとしたうえで言い切った。
「だからだ」
「国王が好意的なカトリックも否定されますか」
「アイルランドと同じ様に」
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