第一章
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独善者
イングランドでは深刻な問題が起こっていた、王権の拡大を推し進める国王チャールズ一世に貴族達からなる議会が反発していたのだ。
勿論王もその貴族達に対して強権を以て応じる、その為国は二つに分かれてしまった。
やがてこの政治的な衝突は内戦に発展した、貴族達は王に対してある人物を選んだ。
オリヴァー=クロムウェル、ジェントリ階級出身のこの男を劣勢の軍の指揮官に任命した。彼を知る者達はこう言った。
「彼は信頼出来る」
「確かな資質を持った者か」
軍の指揮官としてとだ、彼を知らない者は問い返した。
「そうなのか」
「そうだ、しかもだ」
「それだけではないのか」
「自分の領地をよく治めている」
「政治家としてもだな」
「優れている、しかも敬虔な清教徒でだ」
ピューリタン、新教の一派でありこの時イギリスに強い勢力を持っていた。
「清廉潔白だ」
「人格も高潔か」
「そうだ、だからだ」
軍人としてだけでなく政治家としても優れしかも人格も備えているというのだ。
「不正は行わない、むしろだ」
「不正を許さないか」
「見て見ぬふりをすることもだ」
彼がしないだけでなく、というのだ。
「そうしたこともだ」
「しないか」
「絶対にしない」
断言であった。
「何があってもな」
「ではだな」
「そうだ、彼はだ」
まさにというのだ。
「軍の指揮官としてだけでなくだ」
「政治家になってもか」
「期待出来る」
「では任せていいか」
「彼は信頼出来る」
絶対にとだ、太鼓判すら押された、そしてだった。
彼は自身は編成した敬虔なキリスト教徒からなるニューモデルの軍隊を率いて戦った。その指揮は卓越しており。
国王軍を次々と打ち破り劣勢だった状況を覆した、議会派即ち貴族達はこのことに喜んだ。
「いいな」
「うむ、予想以上だ」
「予想以上にやってくれた」
「国王軍を破ってくれた」
「我等の勝利を確実にしてくれた」
「よい男ではないか」
「しかも清廉潔白だ」
言われた通りにというのだ、彼を知る者達から。
「これはいいぞ」
「悪いこともしないしな」
「彼に任せていればな」
「何も問題もない」
彼に確かな信頼すら抱いた、だが。
クロムウェルに反発する者も多かった、同じ議会派でもだ。
彼がいる独立派は清教徒や身分が低く貧しい者が多かったが富裕層もいて複数の派閥があった。それでだ。
クロムウェルは同志達にだ、こんなことを言った。
「我々はこのままでいいのか」
「戦いには勝ってもですね」
「国王に勝っても」
「それでいいのか」
「これからのことを考えますと」
「意見がばらばらだ」
クロムウェルは言い切った。
「国王派の
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