第八章
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機体の足は折れずにそのまま進みだ、何とかだった。
機体は停止した、その時には。
「燃料がです」
「ああ、もうな」
キートンはコクピットの燃料のパラメーターを見て言った。
「ないな」
「空ですね」
「本当にな」
「いや、ギリギリでしたね」
「全くだ」
冷や汗を顔中に流しつつだ、キートンはブルーに答えた。
「何もかもがな」
「車輪、足の調子も悪かったですね」
「あそこでこけてたらな」
「えらいことになってましたね」
「そうなっていた」
「いや、助かりました」
「下手に攻撃を受けるよりもな」
その状況以上にというのだ。
「危なかった」
「でしたね」
「しかしな」
何とか落ち着きを取り戻しながらだ、キートンはこうも言った。
「俺達は助かった」
「そのことは事実ですね」
「ああ、何とかな」
「皆無事か?」
ブルーは他の搭乗員達に聞いた、爆撃手や銃手達に。
「生きてるか?怪我はないか?」
「はい、大丈夫です」
「生きてますよ」
「怪我もないです」
「無事です」
返事が来た、そして見回せばだ。
全員健在でしっかりと動いている、その状況を見てだった。
キートンもほっとしてだ、彼等にあらためて言った。
「それじゃあ出るぞ」
「全員助かりましたし」
「それで、ですね」
「ああ、出てな」
そしてというのだ。
「機首の方に行くぞ」
「わかりました」
全員でだ、実際にだった。
機体から出てだ、機首の方に行くと天使のエンブレムがあった。やたらと露出の多い格好で左目をウィンクさせている。
その天使を搭乗員全員で見つつだ、キートンは全員に言った。
「本当にな」
「はい、この天使様のお陰ですね」
「俺達が全員助かったのは」
「まさにそうですね」
「そうだ」
その通りというのだ。
「そうとしか考えられいだろ」
「まさにですね」
「その通りですね」
「俺達全員で祈ったから」
「天使様が助けてくれましたね」
「若しこの天使様がいないとな」
それこそというのだ。
「俺達は生きて帰られなかったな」
「ですね、こうしてここにいなかったですよ」
「天使様あってですね」
「俺達皆ここにいますね」
「そうだ、俺達をアメリカに帰してくれたのはな」
まさにというのだ。
「この天使様だ」
「じゃあ天使様にですね」
「あらためてですね」
「お祈りしような」
こう笑顔で言ってだ、そしてだった。
彼等はあらためて全員でだ、天使のエンブレムに祈った。天使はその彼等に明るい色気のある笑顔でウィンクをしていた。
天使のエンブレム 完
2016・2・19
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