第五章
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「連中もな」
「そういうことですね」
「高射砲も少ない」
「はい、本土も」
「これは何もなくな」
「帰れますかね」
「そうかもな」
キートンは操縦しつつ笑いながら言った、そして。
爆撃をしてイギリスに進路を変えた、確かに敵機は来たが非常に少なく。
護衛戦闘機が退けてくれた、高射砲もだ。
もう照準の品質が落ちていてしかも砲弾自体のそれも劣化しているのかだ、爆撃隊の下で爆発するだけだった、照準も合っていない感じで。
それでほぼ損害を出さずにだ、爆撃隊はドイツ本土を離れることが出来た。
ブルーは操縦しつつだ、キートンに言った。
「もうすぐフランスに入りますね」
「ああ、そしてな」
「ドーバーを越えたら」
「終わりだ」
キートンはそのブルーに笑顔で応えた。
「俺達の戦争はな」
「そうですよね」
「もう敵は来ない」
「ここまで来たら絶対に」
「終わるんだ、もうな」
「そうですよね」
「さあ、帰ったらな」
基地にとだ、笑ったまま言うキートンだった。
「乾杯するか」
「ビールですか?」
「いや、バーボンはどうだ?」
「バーボンですか」
「それを皆で飲むか」
「祝いのバーボンですね」
「ああ、生還祝いにな」
完全なそれのというのだ。
「派手に飲もうな」
「心よくまで」
「全員でな」
こう笑って話した、しかし。
そう言った瞬間にだ、何と。
右翼のエンジンのうちの一つが急に停まった、それを見てだった。
上部の機銃座にいたトミー=ブラウン軍曹が驚いた声で報告してきた。
「右の第一エンジン停止しました」
「何っ!?」
「今しがた」
そうなったというのだ、そして。
見れば実際にだ、そのエンジンが停まっていた。
「本当にだな」
「急にですね」
「被弾していないぞ」
キートンは驚いた声で言った。
「全く」
「故障ですか」
「グレムリンの悪戯か」
パイロット達の都市伝説だ、機体に悪戯をして実際にエンジンを停めたりする悪魔のことである。
「あいつ等やったか」
「そうですかね、これは」
「全く、ここまできてな」
隣にいるブルーにもぼやく。
「やってくれるな」
「困りましたね」
「まあエンジンは四つある」
Bー17はだ、重爆撃機はエンジンが四発あるものから分類されるのが普通でこの爆撃機は完全にその範疇に入っているのだ。
「あと三つあるからな」
「大丈夫ですね」
「あと少しだ」
基地までというのだ。
「どうとでもなる」
「はい、エンジンはあと三発ありますから」
「何とかなるな」
「そうですね」
「安心しろ、帰られる」
キートンはエンジンが一つ停まったことに嫌なものを感じたがそれでもまだ大丈夫だと思っていた、それでそ
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