第三章
[8]前話 [2]次話
「戦死とか嫌だしな」
「じゃあここは天使を描きましょう」
「後は神頼みだ」
こう言ってだ、その機首にだった。
全員で天使、奇麗な女のそれを描いた。その天使を見てだった。
キートンは搭乗員達にだ、こう言ったのだった。
「この天使がな」
「俺達を守ってくれるんですね」
「ナチスの攻撃から」
「あと急な事故にも」
「ああ、全部な」
それこそというのだ。
「守ってくれるからな」
「神様の守護ですか」
「それが備わったんですね」
「じゃあもうこれで」
「安心出来ますね」
「そうだ、何とかなる」
こう言うのだった。
「これでな」
「よし、それじゃあですね」
「俺達全員でアメリカに帰れますね」
「神様がついたから」
「これで」
「全員でアメリカに帰るんだ、いいな」
キートンはブルー達に強い声で言った、そしてだった。
何度も出撃したがその都度全員無事だった、それでだった。
キートンは夜に自機の搭乗員達と一緒に飲みつつだ、こう言った。
「エンブレム描いてよかったな」
「はい、そうですね」
「あの天使の守護で、ですよね」
「俺達無事に帰られてますね」
「それも全員」
「激しい被弾も事故もない」
そのどちらもというのだ。
「まさにこれこそだな」
「天使の守護ですね」
「それですよね」
「そうだな、もう戦局は決まった」
今度はそちらの話をした、ビールを飲みつつ。
「パットン将軍はライン川を渡った」
「遂にですね」
「あの川渡ったらもう、ですよね」
「後は一直線」
「それで進めますね」
「いけるな、ソ連軍はベルリンを目指してる」
東からは彼等だというのだ。
「だからもうな」
「俺達もですね」
「生きて帰れますね」
「長い間死ぬ思いしてきましたけれど」
「いよいよドイツ軍も終わりですね」
「アジアじゃまだ戦争やってますけれど」
「こっちは終わりですね」
ブルーをはじめとした搭乗員達も笑顔で言う。
「最近ドイツ軍機は目に見えて減ってきてますし」
「高射砲も弱くなってますね」
「じゃあ後は」
「終戦まで、ですね」
「まずいけるな」
笑顔で言ったキートンだった。
「最後まで」
「アメリカに帰って」
「それで、ですね」
「後は祖国で平和に暮らせますね」
「勝ったうえで」
「そうだ、勝って生きて祖国に帰る」
キートンはここであえてこの三つを言った。
「最高だろ」
「ですね、じゃああと少しですね」
「危険な思いするだけですね」
「とはいっても戦闘機も高射砲もいない」
「随分楽になっていますしね」
「やっぱりあれだな」
ここでだ、キートンは搭乗員達にこんなことを言った。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ