第一章
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追われる夢
近頃だ、道重里美は睡眠不足に陥っている。その理由はというと。
「寝られないのよ」
「旦那さんと激しい夜を過ごしてるの?」
職場の同僚の紺野利奈はこう問い返した。里美の黒髪を肩を完全に覆うまで伸ばしやや薄い眉を綺麗なカーブで整え細い狐に似た感じの目を持つ細面を見て、背は一六〇程でもう男の子が一人いるが見事なスタイルは崩れておらず膝までのタイトスカートの制服も似合っている。利奈はふっくらとした顔立ちで優しい目をしていて唇も微笑んだ感じだ。黒髪を奇麗に整えていて女性的な外見である。二人共もう三十代でそれぞれの家庭を持ちながら働いている。
その家庭のことからだ、利奈は里美に尋ねたのだ。
「それで?」
「それは十二時までだから」
時間は区切っているとだ、里美は答えた。会社の近くの食堂でそれぞれ豚の生姜焼き定食を食べながら話をしている。
「しっかり寝る様にね」
「時間は取ってるのね」
「利奈もそうでしょ」
「私は男の二人よ」
子供の数はというのだ。
「それならね」
「私以上によね」
「寝ないと」
そして栄養のあるものを食べないとだ。
「身体がもたないわよ」
「結婚して子供持って働いてるとね」
「睡眠も大事よ」
「独身の時以上にね」
「だから里美も睡眠時間はちゃんと取ってるのね」
「それ自体はね」
「じゃあどうして寝られないのよ」
「何か変な夢見るのよ」
それでというのだ。
「いつも何かに追われていて走っている」
「そうした夢なの」
「何か不思議の国のアリスかスーパーマリオみたいな世界の中で」
「何かに追われてるの」
「駆けて泳いで飛び跳ねて」
そうしていて、というのだ。
「本当にアリスかマリオみたいに」
「それじゃあマリオね」
利奈は里美の話を冷静に聞いて言った。
「どっちかっていうと」
「そうなのよ」
「それゲームのし過ぎじゃないの?」
利奈は里美の話をここまで聞いてこう言った。
「それだと」
「最近ゲームしてないわよ」
あっさりとだ、里美は利奈に答えた。
「読書はしてるけれど」
「それでもなの」
「ゲームする暇ないから」
何故ないのかもだ、里美は答えた。
「家事、育児、お仕事でね」
「それ私もだけれどね」
「主婦に暇はないのよ」
里美はこの現実を言った。
「あんたも身に滲みて知ってる通りね」
「じゃあゲームじゃないのね」
「そうよ、旦那はしてるけれど」
「うちもよ」
何気に二人共亭主の不満も出す、箸を動かしながら。
「家事してもね」
「肝心なことはしないし出来ないから」
「そうなのよね」
「それでゲームもしてね」
「奥さんが横で子供の世話してる時に」
「そういうものね、男っ
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