第七章
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その彼についてだ、彼を知る者は誰もがこう言った。
「優秀な弁護士だ」
「どんな事件でも無罪に出来る」
「彼に相談すれば問題はない」
「それで誰もが助かる」
「しかしだ」
弁護士としては優秀だが、というのだ。
「高額の依頼しか受けない」
「しかも受ける相手はどんな相手でも構わない」
「犯罪組織のボスでも悪徳政治家でもな」
「悪質な企業でもな」
「金さえ積まれれば依頼を受ける」
「しかも仕事の為に手段を選ばない」
「自分のことしか考えていない」
このことも指摘された。
「あくまで自分だけだ」
「他のことは何も考えない」
「頭の中にあるのは金と地位だけだ」
「他には何もない」
「極めて自己中心的だ」
「法律の知識は豊富だがそれを抜け道に使う」
そうした人物だとだ、誰もが眉を顰めさせて言った。
「自分しかないからな」
「他人は利用するだけだ」
「蹴落とすことも平気だ」
「騙すことも欺くことも」
「誰の女にも手を出すしな」
やはり自分のことしか考えない故にだ。
「失敗は押し付ける」
「手柄も横取りする」
「何をしても平気な奴だ」
「自分のことしか考えないからな」
「自分の為なら何でもする」
「とんでもない奴だ」
こうした評価を受けていった、だがライス自身はそんなことはどうでもよかった。やはり自分のことだけを考え利益と地位だけを狙って動いていた。
その彼と正反対にコーネルは理事になっても変わらなかった、働きながら団体の活動にも精を出していた。
常に汗水流して他の人の為に働いていた、その彼にだ。
赤毛の楚々とした外見の二十歳程の女性が声をかけてきた、緑の瞳が森の様に澄んでいる。
その彼女がだ、こう彼に言ったのだ。
「一緒に働いていいですか?」
「是非お願いするよ」
穏やかな笑顔でだ、コーネルは女性に答えた。
「皆でやればね」
「それだけですね」
「多くの人が助かるからね」
だからだというのだ。
「お願いするよ」
「わかりました」
「まずはね」
今団体で公園の清掃を行っている、コーネルは公園の最も汚い場所に自ら進んで入り動き回って掃除をしている。
そのうえでだ、こう女性に言うのだ。
「貴女は帚を持って皆と一緒に道を掃いてくれるかな」
「あの、貴方は」
「僕はここをやってるから」
「ここが一番汚いですが」
「一番汚い場所を掃除しないと」
それこそというのだ。
「皆が困るからね」
「だからですか」
「まずはね」
「そうですか、それじゃあ」
「それじゃあ?」
「私もここをやらせてもらいます」
その公園で一番汚い場所をというのだ、そして。
女性も共に動いて彼と共にその場所を掃除しだした、その彼の周りに幾人か集まってそのう
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