第三章
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「無駄だよ」
「無駄なことはしない」
「ただ自分の為に生きる」
「そうしていくんだね」
「それが僕の信念だよ」
こう言ってだ、そしてだった。
実際にだ、ライスは徹底したエゴイズムに生きた。人を助けることなく自分のことだけを考え自分のことだけをした。
自分以外の存在のことは一切考えなかった、そのうえで成長していった。
だがコーネルは違っていた、成長してもだった。
人の為に動いていた、ハイスクールでもだった。
ボランティアを続けアルバイトで得た金の寄付も積極的に行っていた、その彼に。
彼が通っているハイスクールの校長は自らだ、こう声をかけた。
「大学への進学を考えているかい?」
「はい」
コーネルはこの時も素直に答えた。
「そのつもりです」
「そうか、それならな」
校長は自分から言った。
「いい学校を紹介したいが」
「と、いいますと」
「この大学だが」
ここで校長はアイルランドでも指折りの名門大学、神学が有名なその大学の名前を出した。
「どうかな」
「その大学のですか」
「そう、神学部にね」
「受験をですか」
「推薦文を書くが」
「校長先生が」
「君の成績なら大丈夫だが」
それでもというのだ。
「あるに越したことはないだろう」
「だからですか」
「どうかな」
こうコーネルに言うのだった。
「あの大学に行きたいかな」
「僕が行っていいんですか」
コーネルは校長に問い返した。
「本当に」
「むしろだ」
校長はそのコーネルに微笑んで言うのだった。
「君こそが相応しい」
「あの大学に行くことが」
「あの大学で神学を学び」
そしてというのだ。
「その教えのまま生きることが」
「そうですか」
「あの大学の神学は素晴らしい」
校長は確かな声でコーネルに約束する様にして述べた。
「見事なものだ、そして」
「僕はその神学を学んで」
「これからの人の為に尽くすべきだ」
「だからですね」
「君はあの大学に行くべきだ」
「それでは」
「これからも頑張ってくれ」
校長は微笑んでだ、彼の肩に自分の手を当てて微笑んで告げた。そしてだった。
実際に彼の為に推薦状を書いた、勿論彼自身学業に励み無事その大学の神学部に入学した。だがその彼を見て。
ライスはここでも嘲笑してだ、こんなことを言った。
「神学なぞ無駄だよ」
「神の教えを学ぶことがかい?」
「そのことが」
「そう、あんなもの何になるんだい」
それこそというのだ。
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