第二章
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「そうするんだ」
「そうすればいいんですね」
「人の為に働くことをね」
「わかりました」
コーネルは神父に素直に答えた。
「それじゃあ」
「うん、そのままいくんだ」
「わかったよ」
こう話してだ、そしてだった。
コーネルは両親、親父の言う通り人の為に働き続けた、色々なボランティアに精を出した。だがその彼を見てだ。
笑っている者がいた、彼の同級生であるライス=エターナルだ。
細長い顔に尖り気味の耳、そして縁無しの眼鏡をかけている。全体的にえも言われぬ卑しい感じを出している。人相もいやらしい感じだ。
その彼がだ、コーネルについてこう言うのだ。
「彼は馬鹿だよ」
「いや、コーネルは成績いいよ」
「学業優秀だろ」
「成績はいつもトップクラス」
「それで人にもすぐに教えてくれるし」
「あいつ頭いいだろ」
「ははは、違うんだよ」
ライスは笑って言うのだった、周りに。
「それはね」
「どう違うんだい、一体」
「それは」
「彼が馬鹿だっていうと」
「それはどうしてなんだい?」
「だからあれだよ」
それこそというのだ。
「人の為に働いているね、彼は」
「いつもボランティアをしてね」
「そして人も助けてるね」
「そうしてるね」
「そうだね」
「困っている人は絶対に助ける」
「だから違うんだよ」
コーネルを嘲笑いつつだ、ライスは言った。
「それはね」
「人の為にすることが?」
「そのことがなんだ」
「馬鹿だっていうのかい」
「そう言うのか」
「そうさ、人の為に何かしても」
冷笑もだ、ライスは浮かべた。
「何か利益があるのかい」
「そう言われるとな」
「自分には利益がないか」
「言われてみれば」
「そうか」
「そんな自分に何もないことに精を出す」
それこそというのだ。
「そんなことをしても何にもならないさ」
「それじゃあだね」
「何かをしても何もない」
「そんな無駄なことをしているからなんだ」
「彼は馬鹿だよ、僕はあんなことはしないよ」
また言うライスだった。
「自分の為だけに動くよ」
「じゃあ君はだね」
「あくまで自分の為だけに動くんだね」
「そうしていくんだね」
「今もそうであり」
「これからも」
「そうさ、僕は無駄なことはしないよ」
一切といった口調での言葉だった。
「絶対にね」
「だから彼を馬鹿と言って」
「そして彼みたいなことはしない」
「絶対にだね」
「そうだよ、あんなことをして何になるんだ」
コーネルの様にだ、人の為に何かをしてもというのだ。
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