第二章
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私達はバーのカウンターに並んで座っていた、一緒に座っていても。
会話はない、目を合わせることもない。それでも。
私は彼の言葉を待っていた、彼はただカクテルを注文してだった。
前を見ながら静かに飲んでいる、それは私も同じで。
自分の飲むカクテルをバーテンさんに注文して飲む、ジントニックなりモスコミュールなりを。そうして程よく酔ったところで。
目だけで彼を見た、けれど彼の態度は変わらない。
やっぱり自分だけで飲んでいる風に見える、それで。
私から言うことにした、懐から私の家の鍵をそっと出して。
自分の前に置いてだ、一言だけ行った。
「さよなら」
「・・・・・・うん」
これで終わった、私は自分の分を払ってだった。
バーを出た、それから部屋に帰ってだった。シャワーを浴びて寝た。泣くことも落ち込むこともなくただ寒いだけだった。
そして次の休日にだ、私は友達、あの彼女を飲み屋に誘った。そこで二人で飲みながら彼女にことの結末を全て話した。
「これで終わりよ」
「そう、静かだったわね」
「本当にそう終わったわ」
「予想通りだったでしょ」
「ええ」
その通りだとだ、私は答えた。
「バーにいても寒かったわ」
「暖房が効いていても」
「それでもね」
二人でいるとだ。
「寒かったわ」
「お酒を飲んでいても」
「寒いって感じたら」
「こうしたことは終わりね」
「彼もわかっていたわ」
そのことがだ。
「言っておくけれど私は浮気はしていないし」
「彼もよね」
「そうしたことをする人じゃないわ」
「喧嘩もしなかったし」
「何もね」
それこそだ、そうしたことは彼と一緒にいる時に一度もだ。「
「なかったわ」
「それでもなのね」
「喧嘩にはならなくても」
そして浮気もお互いしなくてもだ。
「性格が合わなかったと思うわ」
「だから自然となのね」
「隙間が出来て」
そしてというのだ。
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